#009 続・D.Q.O.のみなさん全員好き
前回(#007)に引き続きグノーシアの登場人物たちについて個別に語らせていただきます。後半戦。
順序は乗員データの掲載順で。
ちなみに二周目データは現在終盤です。ジョナスおじさん開幕石油王のイベントがなかなか発生しなくて焦りました。そういう周回もあるんだな……もしかして好感度依存だったのかな?
◯ コメット
これほど頼りになる留守番役はいない。みんなの直感切り込み隊長。そして準・初日冷凍メンバー。初手で夕里子につっかかっていって速攻で沈められる姿は秋の季語とされています。うそです。
コメットはバックグラウンドが群を抜いてぶっ飛んでいて、見たことも聞いたこともないような生物の跋扈する大自然の話を聞くにつけ、D.Q.O.船外の宇宙の広がりを感じさせてくれるところが魅力的。ホネクイモヅルって何だ。字を当てるなら『骨食い藻蔓』なんだろうか。擬知体の説明に対して連想した生物なら絶対寄生するタイプの生き物ですね? 詳細を知りたいような知りたくないような。
二人でグノーシアになって時間の止まった世界でウロウロするイベントで、コメットが子供のころに受けた母星での通過儀礼について「人間や生き物いるんだけど、いなくて」と洞窟の様子を語るあのセリフ、すごくコメットらしくて好きです。語彙はそこまで多くはなくても、経験や内的世界がすごく豊かなのを垣間見ることができるようで。
あと粘菌騒動の「国民粘菌」って名称が最高に上手い事言ってて最高。たまに思い出しては笑ってる。
それにしても規制か何かに引っかかるような動植物があふれる星から、シピがクルーとして乗り合わせていた貨物船で脱出するってことは、決して閉じた星ではないんでしょうね。鉱物と一緒に凍らされたとコメットが言っていたはずなので、ということは鉱産物の輸出で経済が成り立ってる星なのだろうか。そういうの考えるの面白いですね。
◯ ジョナス
初めて会ったとき、ついに物語の核心に迫りそうな強キャラが出てきた……! と手に汗握ったものですが、通しでクリアした結論としては「全キャラ中最大の巻き込まれ枠」です。まさか安定したおもしろ成分の供給源になるなんて思いもしなかった……。
いや勿論、ゲーム開始前にルゥアン星で縁もゆかりもないメンバーたちを避難させる英雄的行いでストーリの始点にめちゃくちゃ寄与してますけど、結果として銀の鍵関係・グノーシア関係の真相に一切関わって来なかったのが……俯瞰して見るとものすごくオモロイ。
あなた意味深なことを言いながら意味深な雰囲気を纏って初登場してきたじゃないですか! 真エンドに関わるのどちらかというと一緒に出てきた美少女の方でしたよ!? こんなん笑ってしまう!
……とはいえ、もっと広い意味で考えると、15人の乗員たち全員がこの世界における「個人以上の何者でもない、モブ」と言えなくもない気はするんですよね。
世界の真相を動かすだけの力はなく、ただその世界で生きているだけの個人。あの夕里子さえも。ゲーム作品「グノーシア」を通して知ることのできるのは彼らの情報の一部で、バックボーンも下船後の生活も知り尽くすことはできない。そう考えるとちょっとノスタルジックですね。
ノスタルジックなのはいいけど個人的にはもう少しジョナスの過去を知りたかった(本音)。
地球時代の終焉から今の宇宙時代まで生き抜いてきて、急激な環境の変化に揉まれて、アレッ現実とは……? ってなっちゃったんだろうな。
LeViことステラは常軌を逸していると言うけれど、ジョナスの言動は彼なりに筋が通っているように感じられるので不思議な魅力を感じてしまう……。
◯ ククルシカ
少女は毒を秘してこそファム・ファタールたり得る……君はそうは思わないかね? と己の中のジョナスがモノローグ乗っ取り芸してくる。我らが悪の華、かわいげモンスターと言えば彼女のこと。
開発者様曰く「プレイヤーごとにキャラの印象さえ変わる」らしいのですが、当方にとってククルシカは初登場時なんとグノーシアで、しかも可愛いし初登場だからクロなわけないっしょ! と無条件に信じて見事に騙されてしまったので、今でもローとカオスであればカオス全振りだと認識しています。プレイヤーによっては真逆の印象を受けるのだろうか。面白いな……。
とはいえ決して悪役一辺倒ではなく、ただただ気まぐれかつ自分本位な振る舞いで敵味方関係なく翻弄する様は間違いなくファム・ファタール。うーん、振り回されたい!(※言わずとも既に何度も振り回されている)
他にも、乗員側勝利台詞で「グノーシア遊びはもう終わりだね」と伝えてきたりと、随所で少女らしい純粋な残酷性をチラつかせてくる。そういうところに抗い難い魅力を感じますね。
ところで原型を留めていたりいなかったりするにしろ、多かれ少なかれ中身がマナンさん(???歳)でいらっしゃるけれど、彼女を「少女」とお呼びしていいのか。いや概念としての少女に昇華している(脳内ジョナス談)のでそれでいいのか。
ククルシカが二体いる=銀の鍵でループしてきても空のククルシカは二重存在にならないのなら、生命体でなければ問題ないのだろうか。
そうなると、ラキオが銀の鍵を紛失するってどういう現象なんだろうか。……話が逸れてしまった。
グノーシア時に舌を出して笑うところが黒SQと共通していたり、真エンド後のタイトル集合絵でSQと同じく後ろを向いていたり、そういう示唆に気付けると嬉しいですね。
◯ オトメ
ロジックと情の狭間で揺れる、D.Q.O.のマスコット。彼女の話す台詞は作中随一の可愛さを誇っていると個人的に思っています。かわいい!
ヘルメットの書き込みとか、地上で自由に動き回れるように便利な乗り物を提供されていたりとか、惑星ナダの研究所でとても可愛がられていたことが見て取れますね。沙明は心配していましたが、ノーマルエンドでも語られたように「切り捨てられる」ようなことはなかったようです。本当によかった。
ロジックが高いだけにラキオやステラと同じく好き嫌いで判断しないので、前半は疑われた人をかばって回る(バランスを取ろうとする)のが多いようです。それだけに彼女が使う「絶対に敵だ」で「わかったけど……わかったの、嫌でした」の重みが胸にくる。敵だと言うのは辛いよな……。
他にも「ビビビってされてない」や「だいじょうぶ率」など、グノーシア汚染者を炙り出すための会議の最中で飛び出す絶妙なコメントがすごく好きです。水そうめんイベントでマジのイルカ語を話し始めるのには笑った。
オトメ・バグ勝利時特殊イベントは、ジナ・グノーシア時アラコシア星系イベントと同日に見てしまったため、その日の精神的ダメージ量がとんでもなかったです。せつない。バグの欲求を乗り越えて乗員たち(と出身星の仲間たち?)の生存を望むのが彼女らしい。バグになった原因を自分の内に探すのがいじらしくて辛い。
少々話は逸れて、自分はロボット・AI・架空のキャラクターが人間になりたいと望むストーリーに対して「本当に人間になる必要があるか? それは人間が考えた人間賛美ではないか?」と見てしまうクセがあるのですが、オトメに関してはナダで優しい人間たちに囲まれ、人間に近い思考を得たからこそそう思うのだろうと納得できるだけの要素があったので、その点においても凄いキャラクターだと思っています。
◯ 沙明
コメットの国民粘菌イベントで数多の女子たちを落としたと伝え聞く、ボノボ式コミュニケーションのナイスガイ。「さ」「あき」の順番で名前を変換しているのは私だけではないはず。
初見では「君なんでダブル眼鏡なの?」と思ってしまいますが、背景を知ってしまうと茶化す訳にもいかなくなる。似合ってるしね。
特記事項は4項目と最も少ないですが、彼も知れば知るほど好きになるタイプのキャラクターですね。
古の礼法・DOGEZAを教えてもらうイベントが一二を争うレベルで好きでした。「こんなクズ相手にしてらんねーわと思わせたら勝ち」はあまりにも名言。笑った。
実際のプレイでDOGEZAを繰り出してもほとんどコールドスリープを免除してもらえないのですが、DOGEZA者に対する乗員たちの反応がドライだったり悲しげだったりするのが妙に楽しくてウキウキしてきますね(?)。いいスキルを教えてくれてありがとう沙明。
セッちゃんが「やってしまう」のが面白すぎるし、それがセツ特記事項の一つになっているのも卑怯。全力で笑わせにきている。
ギャグではあるのですが、一方でその宇宙には宇宙空間を生身でランデブーする無実の沙明がいるのかと思うと何とも言い難いものがありますね。
気持ちは分かるけど程々にしようねセッちゃん。
◯ レムナン
不憫オブ不憫。どうすれば彼が笑っていられる宇宙が実現するんだ……!? と心配になるくらい酷い目にあうLOOPが多いキャラクターですが、ノーマルエンドでは生き生きとグリーゼで革命を起こしていたので案外心配いらないかもしれない。
直感が高くて危険を敏感に察知する、ステルスが非常に高くて印象が薄い。カリスマが低くて言うことを聞いてもらえない……等、小動物的な属性が揃っているので、多分マナンはそういういじめ甲斐がありそうな面を気に入ったのでしょう。
いや、マナンが虐め倒したからそうなったのか? どっちだろう。そうだとしたら本来の素のレムナンはどんな子だったのか。革命に走る彼は多分被虐体験の反動だと思うので、そっちも素とは言い難いですね。
あと彼の母星・カナン579も謎が多くて、設定資料集でその辺が明かされるならとても嬉しい。擬知体の星に子供のころから住んでいたのは何故か。そもそも何故カナン579には擬知体しか居なかったのか。家族・友達の関係性があるということは擬知体が社会を形成しているのか。作中で言及された星の中ではいちばん興味があるかもしれません。いいな、自分も行きたい。
機械好き仲間と見るや早口になって語り出すところ、ニンボクイベントで見たことない熱さを見せてくるところ。この辺は、しげみちとはまた違った「俺ら」のエッセンスを感じますね。分かる、分かるよ……。
◯ 夕里子
かつてここまで強キャラらしい強キャラがいただろうか。ステータス・テキスト・ビジュアル全ての面で作中最強の星巫女さん。
「どこまでメタ的視点を持っているのか?」が分からないので何とも言えませんが、もしプレイヤーたちと同じように世界を見ることが出来ていたとしたら末恐ろしい。それどころかプレイヤー以上に内部を把握しているかもしれない。
彼女の言うところの「狂える神々」が、開発者様の仰るところの「147柱の神々」なのだとしたら、これはとんでもないことですよ。もうほぼ宇宙の真理に到達してしまっている。
(とはいえ「ゲーム作品としてのグノーシア」と「グノーシアの物語世界」がイコールかどうか、という部分も分かっていないので断言はできませんが)
そんな滅茶苦茶なパワーを持っている彼女ですが、あくまで宇宙そのものをどうにかする力はなく、グノーシア世界において普通に生きているだけの一人物である、というところも絶妙なところですね。
彼女はよく状況を遊戯・芝居に喩えますが、それを借りて表現するなら夕里子はあくまで他の乗員たちと同じ盤上の駒であり役者のひとりです。
見つかってしまえばそれまでの身で、宇宙も人も取るに足らぬ存在と悟っている人物。そう考えるといろいろ超越してしまうのも分かる気がします。分かるか? いや……分からないかも……怖い……。
夕里子様は他の乗員たちに対して事あるごとに「己は上位存在である」と主張してきますが、これがただの気位の問題ではなく、他の者では持ち得ないメタ的視点を持っている(かつ認知を操作できる)という点で実際に上位存在である、確たる根拠があるというのがイヤミを感じない理由でしょう。実際に「強い」。いたって正当な強キャラです。
【投票しろ】に賛同してくるときの「思うようにやってみなさい」と協力体制・乗員勝利時の「……良い旅を」がとても好き。カッコ良いですよね。
そういえば、ジナと二人で電脳化について聞きにいくとき「知ってしまいましたね」の後にノイズが走って夜時間が唐突に終了する演出がありますが、あれは作中の主人公の認知または記憶が操作されて消された(が、プレイヤーは別次元におり影響を受けない)ということで合ってますか?
ジナは忘れてしまったのでしょうか。次の日に聞いてみればよかったな。
【その他、一つの記事にするまでもない小ネタ】
・プレイヤーキャラの名前を設定できるゲームの常として、何か特殊な名前に設定してキャラのセリフ・システムメッセージとのシナジーを楽しむという遊び方がございますが(ございますか……?)、出来心で男主人公に『お姉』と名付けたら下記のような事件が発生してしまったことをここに白状します。
たいへんなことをしてしまった pic.twitter.com/IAZz777tv6
— 佐々川トタン (@tarte_tutan) 2020年10月24日
ああいけませんお姉様ァ!!
この動画一生大事にする。定期的に見る。大画面で。
・二周目やったら頭から情報が結構抜け落ちてたことに気付きました。正直、考察記事書き直したいです。
少なくともグノーシアの消失はイコール電脳化技術で間違いないだろう、というのは分かりました。
そうなると星舟ってもうほぼグノーシア集団みたいなものですね。夕里子様は何で逃げてきたんだろう……。
・真エンドLOOP 1でセツを救ったのは、次元を超えてアクセスしてきた主人公ではなくて「主人公がアクセスしてきたという事実」だったんですね。助けにきたと言うよりは、助けに来れたこと自体が鍵だった。
特記事項が埋まればセツの鍵を抜く条件が揃う。
なので初期ステータスになってしまった主人公はそこに居るだけでよかった。【話を聞く】しかしていませんでしたしね。
だから極論、あのループの主人公に鍵を渡そうが渡すまいが、そこは関係なかったのかもしれない。
・真エンドの議論パート、ちゃんとTURN5/5で収まってるところが芸細。
・ついに夕里子様の【反論を封じる】取得イベントに遭遇してしまいました。
ついにこの時が来てしまった pic.twitter.com/cUYm4YrGtt
— 佐々川トタン (@tarte_tutan) 2020年10月31日
このおそうじロボの名前も決まってたら最高に面白いな。設定資料集に載ったりしないかな。
・ゲーム制作には詳しくないのですが、それでもグノーシアがフルスクラッチで作られたという事実には腰を抜かしました。
道理で起動時にエンジンとかのロゴが出てこない訳だ。とんでもない。
全力で敬意を評します。ローカライズされて世界的にも知られてほしいですが、果たして。
やっと書き切れました。面白いです、グノーシア。ほんとに3000円でプレイさせてもらっていいのかな……。
まだまだ二周目を継続する予定ですが、記事にするのは一旦ここまでにします。
二周しても見たことのないイベントがポロポロ出てくるのが奥深いですね。まだ誰も見たことないイベントもあるとか。
今週はここまで。
来週は何を書こうかな。それでは。