#048 令和に魔女と百騎兵
今回の感想記事は、
・たぶん辛口
・体調が優れない(高温発熱中)ため短め
になりそうです。ご了承ください。
以下、PS4『魔女と百騎兵 Revival』を急ぎ足でプレイしてきた感想です。
『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』、『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』とプレイしてきて、「魔女シリーズ」の魅力にすっかりやられてしまった私はよりたくさんの情報を求めてミデアの地に足を踏み入れた……
……のは良かったのですが、正直PS5が出る時代にやるにはしんどかったです。平成が終わる前にやっとけばよかった。
噂通りストーリーは魔女シリーズそのものでしたし、メタリカ様はじめキャラクターたちは魅力的だったのですが、プレイヤーとしてはゲーム部分に文句がありますね、ええ、それはもう。
とはいえ公式アートブックを読んで(この人また買ってる……)開発中に様々なご苦労があったことも伺い知れましたので、文句の原液をそのままぶちまけるのは流石に気が引けるというか。
そもそもPS3版が2013年、PS4リメイク版が2015年に発売されたひと昔前のゲームでありますので、それを今更とっ捕まえてアレコレ不平不満を並べ立てるのはちょっとナンセンスな気もします。
ただ初めての3Dゲーム開発とかPS3のスペックとかの事情を加味してもそこはどうにかなっただろ! という点については容赦なく突っ込んでゆきたい所存です。
【マップ広すぎませんか?】
マップが広すぎる。
いや、分かります。ここでミニマムなマップにしたらすぐクリアできてしまいますからね。少しでもプレイヤーを歩かせて時間を稼ぎたいですよね。
ただそれがプレイヤーの楽しみに繋がるかといえば絶対にNOなんですよ。
ちょくちょく見られたのが、行手が二手に分かれていて、行き止まり(言ってしまえばハズレルート)が片道10秒近くかかるパターン。
いや、ハズレの道を作るの自体はおかしくないんですよ。迷路の基本ですからね。一本道じゃつまらないし。
でも労力がかかりすぎる。
片道10秒もかけて何もない。ギガカロリーを消費しただけ。そもそもデカデカと踏破率を表示しておいてマッピングにかかるリソースの消費が激しいってのはどうなんですか? 未踏破部分をオープンにしていくときのギガカロリーの減りが激しすぎる。
しかも大抵の行き止まりには何もない。ただの徒労。こっちは先の展開を知りたくてさっさとゴールしたいというのに。
チョコラータ楼閣とかは二度と行きたくないです。
王国も大変だった……水位の上げ下げ、あれ必要でしたか?
もっとマップの縮尺をギュッと詰めてよかったと思います。
行き先が分からないまま当て所なく砂漠をウロウロし続けたいプレイヤーはそうそういない。
あるいは、もっと雑魚がバカスカ出てきて、もっと防御力を低めに設定されていればマップを制圧する楽しみもあったような。
雑魚の密度についてはPS3のスペックの関係もあったのでしょうが、それならPS4リメイクで増やしてくれたっていいじゃない。
だだっ広いマップに、宝箱や敵モブがパラパラとまばらに居るだけ。少々味気なかったです。
【演出とテキスト冗長すぎませんか?】
これは評価が分かれるところだろうと思います。
私は「そういうの良いから早く進めて」と思ってしまった派。ごめん。
常に常にという訳ではないのですが、もっと詰められただろう(詰めればより効果的になっただろう)箇所が散見されてちょっとキツかった。
特に旧市街遺跡カタコンベでネザリアが語るニケ討伐伝説。絵巻の流れるスピードも相まってジリジリする。
あと、マーニィこと巫女アグニが大百騎兵討伐後に激昂する場面。「恨んでやる……」シリーズはいちいち決定ボタンを押下させる必要なかったんじゃ。あと狂気の表現がラノベチックでムズムズしてきますね。
あと紙芝居・人形劇のテンポについて。
魔女ノ旅団シリーズにおいては、会話パートは基本的に立ち絵+テキストの形式で進められますが、魔女百はこれにくわえて3Dモデルによる人形劇も加わります。
モーションは可愛いのですが、これもいちいち長い。百騎兵ちゃんはカワイイですが、毎回毎回「!マークを表示→こっちに向かせる→会話→肩をすくめるモーション→会話→…マークを表示」みたいなのを見せなくていいから……早く進ませて……。
この辺のテンポ感については、PS4でプレイできる体験版に全部詰まってますので、気になっている方は(いきなり製品版に突撃する前に)プレイしてみると安心かもしれません。
体験版の時点でダメだった場合は、高確率で本編プレイ中に発狂することになります。なりました。
ちなみに、体験版はPS5ではDL不可となっています。ざんねん。
【ドロップ渋すぎませんか?】
せっかくトレハン要素があるのだから、もっと敵から武器・防具をボロボロ落とさせて良かったんじゃないかと思います。
ただしこれは敵とそんなに真面目に戦わないサボりプレイ(参考:12章突入時Lv42、クリア時Lv61)に徹した人間の感想のため、見敵必殺プレイをしていればその辺の印象は違ったかもしれません。
道中の敵があまりアイテムを落とさないため、正直トレハンしがいがない。
武器装備枠は5枠×3パターンあるので、強化されてゆく敵に対して常に15枠の武器を更新してゆくことになるのですが、ドロップ率がどうにも渋かったため「斬属性の魔紋4だけがいつまでも更新できない……」などもザラでした。
これもマップの項で述べた「PS4のスペックアップに合わせて敵を増やす」で解決できたかもしれません。
またPS4版で追加された幻影の塔では敵の装備ドロップ率が大幅に上がり、心行くまでトレハンを満喫することができるのですが、それを何故本編でやれなかったんですか? と不思議でならんのですよ。
別に「ノーマルモード」「カジュアルモード」に加えて「ボーナスモード」的なものを追加したって良かっただろうに……。
【シナリオは魔女シリーズの原点だったけど】
魔女ノ旅団では結構丸くなってたんだな……という印象です。
ただビスコの死に様の悲惨さについては流石にやりすぎな気がしますね。
せめて腕はしまってくれ……見ていられない……。
「シナリオは11章後半からが本番」というのは間違いないです。
12章に入ってからのメタリカ様=伊瀬茉莉也さんの演技は素晴らしかった。
独白シーンの葛藤は胸に迫るものがありました。
一方で「11章後半までエンジンがかからない」と言うこともできます。
コレが伏線か? アレがフラグか? と目を光らせてプレイしてはいたものの、物語の核心に迫る部分については“本番”に入ってからでないとキーが明かされないため、「魔女シリーズは後から謎を全て解き明かしてくれる」という信頼がなければ正直飽きがきていたかもしれません。
ただルッキーニィの“裏”についてはほとんど伏線も張られてなかったように思います。
トルーデの正体も全然気づかなかったし。
知りもしないことをあとからどんでん返しのきっかけに使うのはどうなんだろう。後出し感は否めない。
ただ、世界樹の一族の原点? と思われる物語や、オオガラス、不可、DTOと様々な名で呼ばれるものの一形態であるニケの伝説を目の当たりにできたので、プレイしたこと自体に後悔はありません。
以上。
前評判に聞いていた「アートワーク・音楽・シナリオに全振り」というのは大方間違いがないように感じました。
ルフランやガレリアで魔女シリーズにハマった方が魔女百を遊ぶべきかという点については……
・アニメ的展開やキャラ造形が好き
・ゲーム体験の快適性にはこだわらない
という方になら問題なくオススメできると思います。
逆に言うと、多くのゲームを経験してきて快適性をある程度は重視するという人であれば、無理に本作に手を出す必要はないんじゃないかな……。
かなりストレスフルな時間を強いられるのを覚悟の上で、世界観を深掘りしに行きたいということであれば止めはしません。
でもまぁこの笑顔で苦労の大半が報われたのも事実……。
以上、珍しく文句が多めなゲーム感想でした。
熱はまだ下がりません。養生します。
では、また次の日曜に。