週報タルトトタン

よく寝て、よく食べ、日曜ものかき。

#054 いい年だものNIKUで祝うわ


 今週の記事は、いい年のオトナがこれといって欲しいモノもないからって贅沢なお肉を取り寄せて自分の誕生日を祝った話です。

 

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 ありがとう肉のひぐちさん! とてもとても美味しかったです! あと感想のハガキ送らなくてごめんなさい!
 (書き損じてやむなく没になった……)
 (ので記事にして最大限の感謝をお伝えしようと試みています)
 (広告とかではありません)

 さてこのNIKU祝い、そもそも肉を通販で取り寄せるという行為自体が初めてだったので、下準備や調理の練習含めて大いにバタバタして結構面白かったです。
 「別にスーパーでちょっといい肉を買うくらいでいいっしょ」と思っている方は一回でいいからいいお肉を取り寄せてみていただきたい。
 これはね、食べて終わりの刹那的なイベントではありません。
 祭りです。
 持てるすべてを以てして自分と肉をもてなす祭りです。

 もし自分の誕生日の祝いに何をしようか決めあぐねているようであれば、騙されたと思って肉を注文してみてください。最高なので。
 あるいはあなたが既にいい肉注文経験者であれば「いい肉童貞がはしゃいでおるわ」くらいの温かい目で見てやってください。というかなんでもっと早く教えてくれなかったんですか。


 以下、いい肉にいいように踊らされるいいオトナの一週間ほどの記録。

 

 

 子供のころは誕生日が近づくたびに「この機会にアレを手に入れられればな」だの何だのと、買ってもらうなり自分で買うなりでモノを手に入れる算段を立てたものですが、大人になって多少の資金の余裕が出てくると、誕生日じゃないと手に入らないスペシャルな物品って案外なくなるものですね。
 欲しいものは欲しい時に買ってしまう。それが日常になってしまう。
 そのため、「せっかくだし誕生日に何かする」は"欲しい・望ましい"よりも"物珍しい"を主眼に置くべき。

 うん? 皆で祝う? 家族で祝う? もうそんなに嬉しくないしスルー?
 うん……じゃあこの話の主軸は「この時勢において単身世帯で気晴らしに誕生日を楽しむなら」に絞り込みましょう。
 ちなみに私はいくつになっても誕生日にソワソワできる自信がありますよ。一日くらい何の疑いもなく自分を主役だと思い込んだっていいじゃない。それぐらいの強い裏付けですよ誕生日って。

 話を戻すと、私にとっての"物珍しい"は超いいお肉でした。
 子供のころから無暗に「霜降り、霜降り」と口ずさむくらいには肉に興味があったのですが、不思議と実際に手を出してみようという発想にはならなかったんですよね。どうしてだろう。庶民が板についてるからかな。あるいは憧れすぎて"将来の夢"くらいに遠い目標地点になっていたのかもしれません。
 じゃあもういい年になったんだし、自力で叶えてやろうじゃないの。
 そんな次第で大昔からの夢だった超いいお肉に、ついに手を伸ばす時が来ました。

 

【一週間前、両腕一杯の勇気とともにポチる】

 Amazonに出品されている数多のお肉の中から、丁度良さそうなステーキ肉(あわよくば何枚か入っていて複数回楽しめそうな品)をチョイス。
 注文したのはコレです。

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 https://www.amazon.co.jp/gp/product/B001GT7566/

 飛騨牛
 4枚入りでステーキソースも付属している! なんと良心的。
 お値段は13,000円ポッキリ。

 普段こんな額を食べ物に対して支払わないので(庶民丸出し)ちょっとドキドキしましたが、誰に文句を言われるでなし、思い切ってポチリ。

 さて、無事に受注メールも届き、スケジュールアプリに受取日時も書き込みました。
 あとは一週間後にクール宅急便で我が家へNIKUが届くのを待つだけ……とはいかず。
 ふとこんな思いが頭をよぎりました。


 ただ適当に焼いておバカ牛丼を作るだけでよいのか?
 きちんと焼き方を学ぶべきではないか?
 調味料もちょっといいものを手に入れるべきでは?
 なんなら付け合わせも普段より高尚なものを作るべきか?

 

 ……さて、ここからがてんやわんやのお祭りの下準備の始まりです。

 

【焼き方を知れば通常NIKUもステーキが如し】

 一枚3,250円の肉を出迎えてからすぐホイホイと「開封・即・両面焼き」で済むとは流石に(料理初級~中級者の私でも)思えず、一応適切な焼き方を調べておくことから準備を開始しました。
 数々のお料理Webコラムをザッと読むと、だいたい以下の下準備が共通していることが分かります。

 

 ① 肉は常温にせよ!
  熱の通りを良くするためとのこと。これをしないと芯(?)が生のままだったり、焼き方にムラが出たりするそうです。
  だいたい一時間前には冷蔵庫から出しておけ、というのは後日届いた肉についていた説明書きにもありました。ちなみに冷凍肉だったので[冷凍庫から冷蔵庫に移すのは12時間前]→[冷蔵庫から出すのは1時間前]との指示が。
  いい肉を堪能するにはやはり注文だけでなくきちんとしたスケジューリングも必要になってくるんですね。

 

 ② メッタ刺しにせよ!
  物騒!
  筋の部分に予め包丁をサクサクと入れておくと、あの「焼いている途中にクルンとカーブがついてきて端がうまく焼けない」現象に悩まされずに済むそうです。
  あとは適度にフォークでプスプスと穴をあけておくと適度な柔らかさになるそうです。
  もちろんやりすぎは禁物だけども。
  あんまり開けすぎると繊維が切れすぎて肉汁が流れ出過ぎちゃうらしいです。

 

 ③ 塩コショウは直前!
  他の付け合わせを作るのにバタバタするから塩コショウは予めやろう……というズボラは禁物。
  塩をつけてからしばらくすると旨味が染み出していってしまうとのこと。浸透圧の関係か何か?
  つまりあの御大の「仕上げに塩をひとつまみ」は理に適っていたんですね。納得(アレは焼いた後だけども)。

 

  ↓あの御大


 


 ④ フライパンは予めアツアツに!
  ②も③も「旨味が流れ出ないように」という配慮が通底していましたね。コレもそうです。
  まず表面に一気に通って焼き目ができることで、旨味が流れ出ないようフタをできるそうです。
  アレだ、発想は「止血だ! 傷口を焼くぞ!」っていうアレ(参考:焼灼止血法 - Wikipedia)ですね。喩えが最悪だよ!

  焼灼止血法はともかく、表面を焼いてからの「どこまで内側に熱を通すか」がレア~ウェルダンの分かれ目。
  私はミディアム~ウェルダンくらいに決定しました。

 

 で、学んだこの4点を一応実践してみました。スーパーの普通のお肉で。
 美味くできるかの実験というより、これらを手際よくこなして本番(=3,250円)で失敗しないようにする予行練習の意味合いもありました。
 結果、バッチリおいしい! おいしいけれど、これを次に食べたときに再び心からおいしいと言える自分に戻れるのか……? と贅沢な不安が一瞬だけ心をよぎりました。
 贅沢に慣れていない……。

 ともあれ、コレで通常の牛丼の10倍近くのお値段で成り立つおバカ牛丼を製造しなくて済む、ということは分かりました。

 

 

【ちょっといい調味料、召喚】

 さて、ここまでで「どうやらいい肉を注文したからには肉にも相応のもてなしを提供しなければならないらしい」と勘付いた私が次に取り掛かったのは調味料の段。

 いい肉に適当な塩をサッサとかけて粗雑に喰ってしまうのも背徳感を味わえそうで魅力的でしたが、折角だからここもこだわってしまおうと取り寄せたのがコレ。

 笹川流れの【塩の花】!

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 https://www.amazon.co.jp/dp/B077C1HVJ4

 いい塩はね、いいですよ(語彙)。
 別に"佐々川"を名乗っているから選んだわけではなく、単純に友人からの口コミです。
 曰く、この塩は本当にいい(語彙)。
 考えてみれば塩はどんな料理にも使うし、今回のお祭りのために取り寄せても今後困ることはないだろう……ということで購入しました。

 ためしに一粒なめてみると分かるのですが、いい塩ってただのNaCLを生成しただけじゃ得られない深みがあるんですよね(※注;普通の食塩もただのNaCLではありません)。
 正直ビンボー舌なものできちんとした食レポはできないのですが(かなしいね……)普通の塩をなめたときの「ギッ」とつっかかるキツい塩辛さがないのが不思議。まろやかな旨味があります。
 普通の汁物にひとつまみ仕込むだけでもグッと旨味が増します。
 すごいよ!

 あとは付属のソースを付けてもらえるとのことだったので、これといって本格的な手作りソースなどは用意しませんでした。

 

【付け合わせでステーキ丼からの脱却を図る】

 ここまで様々な下準備をしてきましたが、脇役たちが大根役者だと肝心のNIKUばかり豪華になってもすてきなディナーは成り立ちません。
 とはいえ高尚な付け合わせやスープのレシピなんざ頭にカケラも入っておらんぞ!

 そんな料理不精ではありますが、2021年は便利な時代。
 [🔍 ステーキ 付け合わせ ]と検索するだけでお手頃なレシピへ案内していただけるって寸法です。

 こちらのレシピ紹介コラムから飛んで、
 

macaro-ni.jp

 このサラダと、
 

recipe.rakuten.co.jp

 このスープを作ることにしました。
 

ameblo.jp

 なぜこのチョイスか? んなもん好きな材料だった&比較的作りやすそうだったからに決まってんだろ(実際とても簡単で、なおかつ美味しかったです。ありがとうございました)。

 さて、肉の下準備の時間に加えて付け合わせ(=慣れない料理)を作る工程も発生しました。
 いよいよ長期戦の予感。

 

【今日はお誕生日なので帰ります、ヘヘヘ】

 惜しいことに今年のXデーは平日。
 肉の下ごしらえ、付け合わせの準備、これらを熟すにはお残業をする訳にいきません。

 よって、前日と当日は死ぬ気で頑張ってXデーの夜に余裕を持たせるようしゃかりきに働きました。回り回ってお仕事のモチベーション? にも繋がってゆく。かくもNIKUは素晴らしい。

 流石に定時に帰る訳を明言はしませんでしたが。流石にね。
 とはいえ妙にソワソワした様子から「こいつ何かしら企んでるな」くらいには漏れ出てたかもしれません。だって帰ったらNIKUが待ってるんですよ。どうしてくれようか。

 傍から見たらおデートに舞い上がる若者のようですね。
 そう、実際お肉を取り寄せて食す一連の流れはおデートに近いと思うのです。
 ワクワクしながら下準備をする高揚感。

 いやそういうおデートをした記憶はないので分からんですけど。ワハハ(乾いた笑い)。

 

【いざ出陣】

 そんなこんなでXデーがやってまいりました。その日は朝早くから起きだして冷凍庫を開け、冷蔵庫へ主賓を移送するなど「今日はいつもと違うぞ」といった雰囲気に満ちておりました。
 (主賓は自分だったはずがいつの間にかいい肉に取って代わられている)
 (それもまた良し)

 結局若干の残業に捕まりながらなんとか家にたどり着き、休憩もそこそこに以下の流れで作業に取り掛かります。

 

 肉を冷蔵庫から取り出す。
 まだ暑い日だったので常温に晒したとたん真空パックの表面が汗をかき始めます。バットに入れてしばらく放置。室温は28℃くらいだったと記憶してます。

 

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 ヒューッ! 麗しい! 眩しすぎて脳が「美味そう」って認識してくれない! 芸術品か何かだと思ってる!

 

 米を炊く。
 日本人なら肉を堪能するときも米でしょう。麦飯を混ぜるのが個人的スタンダード。食感がいいね。
 これが炊けたころには肉もバッチリ常温に戻っていることでしょう。

 

 野菜を刻む。
 まずはスープ用。猫舌なものでスープは出来たてより少々放置されて粗熱が取れたくらいのが好き。
 スープに取り掛かりつつ、合間合間でサラダ用の野菜も切る。
 ちなみにモッツァレラチーズは切ると後が面倒だから(包丁とかまな板とかが脂質でアレになる)最初から一口サイズのにしました。楽ちん。

 

 付け合わせが落ち着いたあたりで肉が常温に。下ごしらえ開始。
 一時間も経たずに常温に戻ってくれていたので、先ほど解説した4点を念頭にボチボチ作業します。
 あのね、肉がね、知っている肉と違って脂身がすごくて思った通りの動きをしてくれないんですよ。
 柔らかいの。ホントに。ペタン……ペタン……って変幻自在に寝返りを打ってくださるので庶民はアワアワするしかなかった。

 

 七転八倒ののち、ついに焼く!
 この日が来ることを見越してちょっといいフライパン買っておいてよかった!
 カリー子さん(#019参照)のグレイビーを作ると模様に沿って焦げ付いちゃってアレだったけど、ついに力量を遺憾なく発揮している! 輝いているよお前!

 

 最後にちょっとしたお酒を用意して、素敵なお夕飯の準備は完了。
 ちなみにコレをキリンレモンで割りました。
 作っているのは養命酒さんだけど味は養命酒ではないから安心して飲んでみてください。甘くてスパイシーでおいしいよ。

 

www.yomeishu.co.jp

 肝心の食卓全体の写真は撮り忘れた。なんてこった。
 ただしNIKUの接写は残ってたのでこちらをどうぞ。

 

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 すげえいいNIKU!

 

 もういい加減前置きが長くなってきたので結論から申し上げます。
 美味かったです。
 一口めでまさか涙が滲んでくるとは思わなかった。
 いい肉はそりゃ有名だろうけど、結局「ただおいしいだけ」でしょ? と心のどこかでは期待しきれない自分も居たのですが(ここまで意気揚々と下準備しておきながら往生際のわるい……)、大袈裟でもなんでもなくホントに涙出ました。

 「ただめちゃくちゃおいしいだけ」は、人生において最上の衝撃である。と言い切りたい。
 これほど脳を直接揺さぶってくるものは他にありませんよ、多分。
 ドーパミンがドバドバですよ。日常の不安などは吹き飛んでだいたい一週間ほど万能感に包まれましたよ。
 もう全人類いい肉を食える日を二か月に一回くらいは作るべきだ。それでどれだけの諍いがなくなるか。

 ああもうお肉大好き。今後も機会があれば取り寄せたいです。

 

 

 後日談。
 お肉はめちゃくちゃ美味しいのですが、体が一定量以上の脂に耐えられない構造になってしまっていたようなので、2枚はひとりで調理して楽しみ、残りのもう2枚は実家に持って帰ってみんなで楽しみました。
 あの量はファミリー向けだったね。

 流石に美味しいお肉とはいえ連日浴びるように喰ったら慣れてしまいそう(もっと言えば飽きてしまいそう)だったので、次はもうチョイ少なめの、単身世帯に丁度良いものを発注しようと思います。

 

 という訳で、今回は己の誕生日にかこつけて新たなアトラクションを発見した話でした。
 楽しみは食べるだけに留まらなかった。いいNIKUは凄い。
 さて、次は何にかこつけて食べようかな……。

 それでは次の日曜に。