週報タルトトタン

よく寝て、よく食べ、日曜ものかき。

#066 十三機兵防衛圏の十、自問自答考察Q&A

f:id:tarte-tutan:20211205223318j:plain

 

 アフターケアだ! 十三機兵防衛圏!

 さて、先週の半ばに鬼のスケジュールでクリアした十三機兵防衛圏ですが、第一~九回まで長々とプレイメモを掲載したはいいものの、記事上にあるのはあくまで私自身の思考の過程でしかなく、「これが答えだ!」というきちんとした結論・帰着が書かれていないというとんだ乱雑具合。
 それを放って以上完結! ……ではちょっと忍びないので、メモをザッと振り返りながら、プレイ中に抱いた疑問へクリア後の現在の私が答える形式でちょっとした考察をしてみたいと思います。

 考察といってもほぼ本編ですべて説明されてると思いますし、ここで私がいろいろ書いてもただの事実の羅列にしかならない予感がしますが気にしない。
 考察というかどちらかというと事実の整理に近いかもしれない。
 (万が一間違い等があればご指摘いただけるとありがたいです。)

 また、この注意書きも十回目ですが、以下の内容は最初から最後までネタバレたっぷりです。
 初見で謎を解き明かしながら(というか翻弄されながら)知恵熱MAXでプレイした方が絶対面白いので、これからプレイする方・現在プレイ中の方は読まないでくださいね。

 


 【バックナンバー】

 第一回(#052)
 第二回(#055)
 第三回(#058)
 第四回(#060)
 第五回(#061)
 第六回(#062)
 第七回(#063)
 第八回(#064)
 第九回(#065)

 

 

 

Q1.結局、時間遡行はしてなかったの?

A1.一切してません。


 BJが三浦に対してハッキリと言っているとおり、時間を遡るのは未来(実際は過去、西暦2188年)の技術をもってしても不可能です。
 時間を遡っているように見えた演出は以下の二つですが、どちらも時間遡行とは別の現象であることが明示されました。

 ①タイムトラベル
 40年おきに未来または過去へと転移できるように見えていたもの。
 1945年、1985年、2025年、2065年、2105年の「居住区=セクター」が、それぞれ過去-未来の関係をもたずに独立して(同時に)存在していた……というのが真実。
 過去である1945年がDの侵攻を受けても未来である1985年が崩壊せず、史実にもあの大崩壊が残っていなかったのはそのため。
 また、三浦や比治山が度々「機兵を本土決戦に使えれば日本は勝てるのに」とこぼしては沖野やBJに「それは無理」と一刀両断されていたのは、各セクターが同時に時間を刻んでおり、当然過去にも戻れないと分かっていたためですね。
 (逆に言うとその発言をもって「タイムトラベルしていない」と判断できるという……)

 ②ループ
 16年おきに時間が巻き戻って見えるもの。
 これがまたニクくて、時間の隔たりが①の40年しかないのか? と推定し始めたあたりで16年という概念が差し込まれるので、「いや、16年の移動もあるなら自由に時間移動できるのか……?」と混乱または勘違いする羽目になります。ナイスミスリード
 その実態は、2188年の東雲諒子が仕込んだコードにより「最終段階」こと仮想世界での育成プログラムが完了前に(20年で完了のところを4年早く)リセットされる現象でした。
 これのお陰で、作中の探査船が着いた先の惑星はとっくの昔にテラフォーミングが済んでいたにも関わらず、15人の子供たちはカプセルから出てくることなく何度も何度も生成されては分解されるループを繰り返していました。
 ループと言いますが、ループしているのは時間ではなく「工程」です。
 時間はあくまで不可逆です。一度生成された子供たちはその時限り・唯一無二の生命であり、仮想世界の中で毎回違う人生を歩んでは、ダイモスの侵攻=Dコード実行によって同じ死を迎えていたことになります。
 Dコードのお陰でどれだけの屍が生み出されたんだ。むごい……。

 

 

Q2.森村は何人いたの? 結局ワルモノだったの?

A2.作中に登場する森村はだいたい5人。ワルモノではないけど思想がぶつかって大変。

 

 登場しなくとも実際は存在したよね、という部分まで含めると以下の通り。

①西暦2188年、地球時代の森村博士
 ナノマシン開発の権威、NEWMEN社の元幹部。シキシマの箱舟計画を積極的に進めていた。
 すべてが本人のせいではないにしろ、作った凶悪なナノマシンが地球を汚染したために人類が滅亡した。
 とんだファムファタルだよ!

②2周前の森村千尋
 セクター1に生まれた、森村博士のクローン。和泉・沖野と共に中枢へアクセスしたメンバーの一人。
 ループ越えした仲間たちと共にDの侵攻に対抗すべく機兵計画を立ち上げたりした凄い人。
 注意したいのは、彼女は「一周前のリセットではセクター0にバックアップをとれずロールバックしている」点。
 2周前(初めてのUFO探検)
  →1周前(地下組織で生き延びつつ戦車を作って戦った。バックアップできず)
   →今回の周(もう一度女子高生からやりなおし。森村先生へつながる)
 諸事情から、プレイメモでは「白衣森村」「ライダー森村」として扱っていたけど、結論としては間違いなく同一人物。
 ただし、ロールバックしている関係で、同じ記憶を持っているとまでは言えないのが微妙なところ。

③一周前の森村千尋
 セクター2で和泉(2周前)に撃たれたところしか出てきていない。井田と一緒に行動しているのを見ると、Dとの戦闘に備えて彼女も適合者として集められていた模様……?

④冬坂五百里
  我らがイオリチャン! 無敵の女子高生!
  作中における最後のループで生まれた森村千尋クローン。セクター1にそのまま放っておくのは同一DNAを持つ森村としては不都合だったため、②の森村によってセクター4の冬坂家へ送られた。
  ①~⑤の森村たちの中で現在唯一「生身」の体を持つ存在。

⑤三浦家の千尋ちゃん(5さい)
  ②の森村によって複製された森村。
  ロリババア……と言いたいところだが、記憶を封印されている間は普通の子供で、三浦家ですくすくと育っていた。
  森村(②の2周前森村)は自分の記憶を移植していたと勘違いしていたが、実際に移植されていたのは①の森村博士の記憶であり、郷登が記憶の封印を解いたことで「50代研究職女性の記憶を引き継いだ5歳児」とかいうトンデモ性癖手榴弾チャイルドとして君臨した。

 

 最後のループで問題になってくるのが、②森村が推進していた機兵計画(のちにイージス作戦)と、⑤千尋ちゃん博士が守ろうとする箱舟計画が"ある点"で競合してしまう点。
 イージス作戦を決行してしまえばループは起こらなくなり、その星での箱舟計画は頓挫してしまう。千尋ちゃん博士としては、現在のセクター0を含めて(Dコードを解除した状態で)再度ループさせて、もう一度施設再建の段階からやりなおしたかった……というのが彼女らの対立の真相でした。

 

Q3.柴くん(2周目和泉、426)はなぜ網口にもビデオを見せていた?

A3.網口の、井田に対する解像度を上げるために因幡美雪と共謀して記憶を見せていたっぽい(推測)。

 三問目にしていきなり推測です。これは作中で鞍部十郎ほどには明示されてないもので。
 しっぽがアイドルのTV番組を見ていたり、柴くんが「ゲームをしてるように見えているだけ」と因幡美雪が言っていたり、426と因幡美雪が意思疎通を行っているらしき場面は度々出てきます。
 また、網口が見せられているらしい記憶は426を使った実験(あるいは私怨)の場面であることが示唆されており、このことから「森村たちが見せている記憶(一周前、森村が知っている井田の記憶)」と「426が見せている井田と如月=16番=因幡に関する記憶」が組み合わさって初めて井田に関する真実の記憶が完成するともとれます。
 このことから、426と因幡は「井田の行動原理を探る/または止める」のを共通の目的とし、網口に対してそれぞれ別のアプローチから働きかけていたと考えられるのですが、どうでしょうか?

 

Q4.怪獣ダイモス、永遠のトリカゴ、地球来訪者、冒険科学小説本、それらしきSFが作中に登場するのは偶然?

A4.もしかしたらユニバーサルコントロール因幡美雪、柴くんの干渉があるかもしれません。

 さらに憶測続きで面目ない。
 鞍部が持ってるビデオに関することだけなら柴くんの記憶操作で片づけられるのですが、南がバリバリにSF作品に浸かり切ってたり、セクター5の三浦が時間旅行に関する冒険科学小説本を持っていたり、426個人では制御できないだろう事柄が頻出しているため一概にそうとも言い切れません。
 少なくとも、ユニバーサルコントロールが「見逃す」か、あるいはそれ自体の判断で「あえて流通させている」かのどちらか。

 仮説としては、
 ・ユニバーサルコントロールが「来るべき18年後」のために15人が最低限のSF知識や想像力を備えられるよう、あえて見せていた
 ・因幡深雪が娯楽系コンテンツに干渉し、事実に気付かせるべく暗示的な作品を流通させていた
 ・西暦2188年の東雲があえて15人に見せていた(大穴)
 このあたりが考えられるのですが、どうでしょう……。

 

Q5.セクター(居住区)とユニバーサルコントロールの関係って結局なんなの? 町は物理的に存在するの?

A5.「セクター」は物理的に円盤が存在するが、その上に築かれた「町」は仮想上の存在っぽいです。

 これも推測、というか最後の最後まで決定打を貰えなくて今も結論を出し切れていない部分です。
 とりあえず、因幡深雪が指令船から「居住区がどうなっているか見える」と発言しているため、少なくとも各セクターは物理的な施設として現実世界に存在していたと判断してよいかと思われます。
 一方で、各セクターの内部、居住区については仮想空間であることが何度も描写されており(ミステリーファイルでも明言されている)、街の外へ行こうとした網口・鷹宮が「無限に広がる網目状の構造体」を目撃する等、物理的な面は超越しているように取れます。

 よって、ザックリとしたイメージとしては、
 [ ユニバーサルコントロール ]→(干渉)→[ 施設の記憶セル [居住区の記録領域] ]←(アクセス)←[ 生育施設のポッド内部の15人 ]
 こんな風になっている……?

 また、これによってイージス作戦を決行すると「ループができなくなり」「廃墟で生き続ける」のが何故か、というのがある程度説明できるようになります。
 イージス作戦によってループや生育過程までコントロールするユニバーサルコントロールが切り離されてしまい、生育ポッドからアクセスしてきている15人は「居住区の記憶領域」にアクセスしている仮想空間生活状態から抜け出せなくなる。
 一方で、ユニバーサルコントロールが見せていた幻とも言える600万人のAIたちは切り離されたことで居住区の記憶領域にアクセスできなくなり、「町の人間は消滅してしまう」。

 この「町」とユニバーサルコントロールが別枠であるというのが絶妙に分かりづらくて苦労したのですが、上記のように解釈するとある程度は筋が通るような気がします。どうなんでしょうね(微妙に自信がない)。

 

Q6.結局コロニーって何だったの?

A6.地球に住めなくなった人間の避難場所。ナノマシンに汚染されてると入所拒否されます。

 この部分、中盤くらいまで混同してしまっていたので一応ハッキリさせておきたく。
 「コロニー」はあくまで地球時代の人間たちが避難していた場所であり、箱舟計画の子供たちが活動していたのはコロニーではなく「別惑星上に建設された施設」。また別惑星の衛星軌道上を周回していたのは「指令船」。
 コロニーはもう宇宙のチリと化していると考えてよさそうです。2000万年も経っているからね……。

 ナノマシン恐慌の発生後に箱舟計画の研究を続けられるような施設があったというのは不幸中の幸いだったと言うべきか。
 いつから彼らが宇宙に拠点を建造していたかは不明なものの、ナノマシン汚染のために造ったものと考えるには余りに規模が大きすぎるため、宇宙進出時代→ナノマシン全盛期→悪性ナノマシン流行→コロニーへ一部の人間が避難→地上壊滅、の流れと見るのが自然ですね。

 

 たったの6問ですが、個人的に引っかかっていた要素(とメモ中でブザマに勘違いしていた箇所)を紐解くことができて私個人としてはスッキリしました。よかったよかった。

 ゲーム自体に対する感想はまた別の記事として書こうと思ってます。とりあえず少し時間をおいて、サントラを聞き倒して、設定資料集と脚本集を眺めて、感情を整理してからもう一度振り返りたいですね。
 (めっちゃ関連商品買ってるこの人……)
 (少しでも版元に潤っていただきたくて……)


 といったところで本日はここまで。
 また次の日曜に。