週報タルトトタン

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#068 Ghost of Tsushimaでニッポン風味体験

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 久々にいいオープンワールドゲームをやれた気がします。楽しかった!
 Ghost of Tsushima ディレクターズカット版(PS5)、クリアしてきました。
 追加コンテンツ「壹岐之譚」「冥人奇譚」はクリア後の今からプレイするので、この記事ではツシマ本編(仁之道、浮世草)と対馬本島の探索についての感想を載せてゆきます。

 というかクリアしたてホヤホヤの状態なので今まで以上にフレッシュ(整理できていないとも言える)な感想になりそう。
 あと時間がないので(日曜が終わるまであと2時間)ザックリ駆け足記事になるのも確定です。お恥ずかしい。

 ネタバレがゲーム体験を損なうタイプのゲームではないと思うのですが、ストーリー展開や新装備の見た目などは自分で見たいという方は読まない方がいいかもしれません。ご注意ください。

 

 

 十三機兵防衛圏をクリアしたのが11月の末。そこから「久々に別のゲームをやれるぞ!」と「年内にPS5の積みゲーを崩さねば!」の二本柱を推進力にして、トロコンまで56時間を一気に駆け抜けました。
 次のエリアに移るまでにすべてのランドマークをおさえ、浮世草(サブクエスト)も消化するようにしていたので、多分通常よりは時間をかけた方かと思います。
 単純にストーリーを追うだけならこの半分くらいでいけるんじゃないかな。強化を積めなくなるのでメインクエスト縛りをするとクリア難度がちょっと上がりそうですが……。

 

オープンワールドと"和風"】

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 さて、よく使われるわりに定義がフワフワしている「オープンワールド」ですが、ツシマは世に数多あるOWゲーの中でも、


 『多少の制限はあれど、どのランドマークにも好きなようにアクセスできる開けたマップがあり』、
 『ゲームクリア条件としてメインクエスト以外の達成有無を問わず』、
 『目に見える場所には一応行ける自由度がある』


 あたりの条件を満たすタイプの大作です。

 私自身がプレイしてきたこの定義のOWゲーは「TES: Skyrim」「GTA5」「The Witcher3」「FARCRY3・4」「ゼルダの伝説BotW」「Horizon Zero Dawn」あたりでしょうか。微妙にジャンル一致しないのも混ざってる気もしますがそっとスルーしてください。
 システム的に一番近いのはThe Witcher 3あたりでしょうね。手触りが非常に近いです。マップがエリアごとに分かれているところが特に。馬にも乗れるし。

 で、ツシマの特色は当然ながら舞台が日本であること。
 前述のように主なOWは西洋ベースのファンタジーか、でなければ主人公が銃をブッ放すやつ(犯罪モノってくくりにしていいものか……)が中心で、この規模の"和風"ゲームはほとんど出てきませんでした。

 海外産の"和風"ゲームを日本人が「日本を舞台としたゲームである」と認識するまでには、文化や思想などの非常に多くのハードルを越えねばならないのが、その要因の一つでしょう。

 ※海外産の和風ゲーといえば、私がプレイしたことのある中ではSteamのAragamiが典型的な例。良いステルスゲーである一方でキャラや建築の意匠は中国との混同が著しく、当時「これは日本モチーフと言えないなぁ」と首を傾げた覚えがあります。もちろんゲームとしては楽しかったですよ。休日一日くらいでクリアできるのでオススメ。

 あとは純・日本産のOWゲーがほとんど生産されないのも和風OWが生まれなかった原因の一つかと思います。
 コストとかリターンとか色々な大人の事情があるのはお察ししますが、もうちょっと日本産の大作が出てくれると嬉しいんだけどな……買うからさ……。


 と、ダラダラ述べてきましたが、とにかく「きちんとした“和風”のオープンワールドゲーは出てこなかった」
 そのため、ゲームシステム部分にOWとしての革新的な目玉ポイントが存在せずとも、おサムライとして大地を駆け巡る体験ができる時点でツシマは“一本勝ち”であるのは自明なんですよ。

 そう、設計的には意外と真新しいものはないんです。コアを切り出すと、


 ・各地に点在する敵の拠点を潰す
 ・各地に点在するプレイヤーキャラの強化ポイントを集める
 ・各地に点在する装備を集める


 この既視感のある行動の繰り返しで、過去のOWゲーでは見たことのない新要素はほとんどないと言っても差支えありません。
 ただしそれがつまらなさを生んでいる訳ではなく、むしろその行動の面白さを極限まで邪魔しないよう周辺要素を快適にし、フレーバーとなる“和風”部分を丁寧にゲームに落とし込んだのがツシマのすごいところ。

 私は元々OWゲー自体が結構好きだったので(一時期多すぎて食傷気味になったこともありましたが)この作りはバチッとハマりました。
 逆に言うと、この収集的要素があまり好きではない人、面倒だと感じる人には向いてないかもしれない。基本的な部分は他の作品とそこまで変わりがないので……。

 

【極めて丁寧なローカライズ

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 これ、めちゃくちゃ大変な仕事だったと思います。
 素晴らしいローカライズでした。

 単語に関して言えば、直訳すると印象に残りづらい言葉を、歪曲しすぎず、ある程度は日本語話者に伝わりやすいように変えていった形跡が見受けられて面白いです。Ghost→冥人(くろうど)という造語もその一つですね。
 HorizonでもCorrupted 〇〇を禍ツ機(まがつき)と訳したり、興味深い翻訳をしていたな……と思ったら、ローカライズプロデューサーに同じ方がいらっしゃってびっくり。その方の提案かな。

 ゲーム内の単語も出来る限り外来語を使わないようにしていたところ(体力・気力・地図・兵具・余興等々)もニコニコしちゃいましたね。一方で設定画面などの、お芝居に関わらないメタな舞台裏では「サウンド設定」「タイトル画面に戻る」のように可読性を取っているのも好感。

 私は日本語字幕・英語音声でプレイしていたのですが、台詞を聞く限りでは英語文化圏的な言い回しをしているな~と感じる部分が散見されました。
 また、ストーリーラインで言えば仁の葛藤って「唯一無二と信奉する志村の教え=武士の誉れ≒唯一神に近い存在への反逆」から生じるものなので、極論、キリスト教的な抵抗感と受け取れなくもないんですよね。

 それを日本文化圏で違和感なく「日本を舞台にした、日本人たちの物語である」と思わせる、更にはストーリー全体から浮かない台詞に翻訳する、その膨大な作業や多大な努力に敬意を抱かざるを得ません。

 

サウンド・グラフィックは癒しの極地】

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 フィールドBGMが少しずつ控えめになり、アンビエントサウンドが中心となる傾向が最近のゲームにみられますが、ツシマもまた例外なく環境音推しでしたね。
 すすき野を馬で駆けながら、誘い風がザアァァ……と渡る音を聞くのは日々の癒しの時間でした。いやぁ、聴覚的にも視覚的にもヒーリングですよあれは。
 マッポーの世なのであちこちに死体が転がってるのはご愛敬。

 私はPS4版をやらなかったのでグラフィックの差がどれほどあるかは分かりませんが、PS5DC版のグラフィックはPS5専用ソフトであるDemon's Soulsに匹敵する美しさでした。
 ちなみにロードも起動・ファストトラベル含めて笑っちゃうくらい早くて、一回もロード画面TIPSにお目にかかってません。もしかして実装されてない……?

 サウンドのくくりに入れてしまいますが、PS5コンの高性能な振動機能の表現がこれまた凄くて、序盤で仁さんが刀を構えた瞬間にコントローラーに伝わるキイィン……という振動、馬で走っているときの岩場・木造の橋の感触の違い等々、これも臨場感があり素晴らしかったです。
 弓を引いてるときのトリガー抵抗はあんまり意識してませんでした。少なくとも邪魔じゃなかったと思う……(忘れてた)。

 

【たのしいチャンチャンバラバラ】

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 戦闘もとても楽しかった!
 最初はスキルも揃わず近接戦闘が怖かったので全力でステルス攻略に走っていましたが、戦闘スキルが揃ってきてジャスガの感覚が手に馴染んできた中盤あたりから積極的に近接で戦うようになりました。
 後半にゆくにつれて逆に誉れある戦いに身を投じる流れになったのは(個人のプレイスタイルとして)どうかと思うぞ!

 集団戦においてはクナイ・てつはう何でもありの大立ち回りを演じられるのが楽しい。冥人の型を覚えてからは敵を圧倒できるのが爽快。
 一対一の仕合では小細工ナシの真剣勝負ができるのが最高。
 ステルスではノーダメージで敵を減らしてゆけるのが愉快。

 中身がこんなだから仁さんが冥人の道に落ちてゆくのも仕方ないことなんだなと思いました(小学生の作文)。

 

【ストーリーは演出勝ち】

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 映画的な演出や画の美しさに全振りしたな、という印象です。あくまで個人の感想として。

 たかの死やノブちゃん(馬)との別れ、志村どのとの最後の戦い、みな演出に力が入っており思わず泣かされてしまいました。
 が、全体を通して心に残るストーリーだったかと言えば案外そうとは言い切れないように思います。
 前述で言うところの仁の葛藤の構造をはじめ、ストーリーの端々にある違和感に引っかかってしまって、主観的に感情移入し辛かったのは確かです。これは仕方がない。

 ※余談。動物の相棒をひどい目に遭わせるのは読み手としては泣くしかないので、それをもって感動ポイントにカウントするのはどうかと思う。人喰いの大鷲トリコとかもそうだった。
 やめろとまでは言わないが、それは絶対に心にくる禁じ手だから、シナリオの深みとして加点はしませんよと……。


 あと久々のOWだってんでメインクエストそっちのけで島の観光に走ってたから、ストーリーの緊迫感や没入感がやや削がれてしまったのもありますね。これは単純に私のプレイスタイルの弊害です。
 筋書自体がそもそも一本道のゲームなので(もちろん何でもかんでもマルチエンディングにしてほしい訳ではありませんが)進め方が人それぞれになる性質とは水と油なのかもしれない。難しいね。


 とはいえ「泣ける・心に残るストーリーだけがいいストーリー」という訳ではないはず。
 途中の体験が素晴らしかったので、ゲームとしての楽しみを損なうものでなければ問題ないんじゃないかと思います。

 同じ筋書の映画を見せられたら感想は違ってくるはず。
 そういえばツシマを映画化する話が出てたような覚えがあるのですが、あの話ってどうなったんでしょうね。
 ダイスケ・ツジ氏が仁さんを演じてくれるなら観に行こうと思います。やっぱあの尻はツジ氏じゃないとダメでしょ。

 

 

 

 ダラダラと述べてきましたが、まとめてしまうと
 「典型的OWゲーだったが、フレーバー(=日本風味)が過去作品たちとは一線を画していたため楽しく遊べた」
 こんな感じの感想になります。
 もしツシマ・フォロワー作品が出てきたとしても、ここまでは楽しめないんじゃないかな。
 “和風OW最初の一撃”をこのレベルまで高めてくださったのは本当に有難く、意義のあることだったと思います。

 人に勧めるとしたら、


  ・OWゲーが好き、あるいは遊んだことがない
  ・三人称視点アクション、またはステルスゲームが好き
  ・歴史オタクではない(エンタメであると割り切れる)


 この辺りの方におすすめしたい。
 最後は特に重要。

 さて、これからノンビリと壱岐めぐりでもしてきます。追加コンテンツのトロフィーはコンプできるだろうか。
 こおろぎやのぼり旗もだいぶ取りこぼしているので、改めて探す旅に出てもいいかもしれない。

 

 褌で。

 

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 (武家でなくなってから却って吹っ切れた様子の仁さん近影)

 

 感想はここまで。
 次回が今年最後の更新ですね。

 それでは、また次の日曜に。