#086 Coffee Talk感想、シアトルは今日も雨
クリアしました。ついでに全実績解除しました。コーヒートーク。
購入してからかなり経って良い具合に熟成されたかな〜等と思っておりましたが(?)、積みゲーにするなんてとんでもない。
もっと早くやればよかった!
コーヒーを飲むなら熱いうちに!
そんな訳で今週はスイッチ版『Coffee Talk』の感想です。
ネタバレは極力避けて書きますので、初見の方も安心かと。もし興味を持っていただけたら是非バイナウ。ゴールデンウィークの合間にどうぞ。
さて、本題に入る前にひとつ触れておかねばならない件があります。
本作品を制作されたモハメド・ファーミ氏がつい先月(3月28日)急逝されたそうです。
この素晴らしい作品を世に送り出した方が亡くなられたとネットニュースで後から知り、あまりの衝撃に言葉もありませんでした。
まだ32歳とお若く、続編にも取り掛かっておられたとのお話。完成までディレクションできなかったことを思うと残念でなりません。
(続編、Coffee Talk Episode 2はデモ版が無料で配布されています。)
氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
ネタバレを避けるためタイトル名では検索しなかったため、クリア後に初めて訃報を知る形となりました。
この小さな辺境ブログの感想記事が言語の壁を越えて氏まで届くことはなかったでしょうが、それでもご存命の間に感想を書いておけばよかったな……と少し後悔しています。
コーヒーを飲むなら熱いうちに。
それでは、以下、いつものユルい調子に戻して感想を述べてゆきます。
どうぞよろしく。
※注意書き:勉強がてら英語でプレイしたため、特に台詞などは日本語ローカライズと若干ズレてしまうかもしれません。固有名詞などは出来る限り揃えるよう努めますので、ご了承ください。
【システムについて】
この点に関しては基本的に「酒じゃなくてコーヒーを出すVA-11 Hall-A」と表現しても差し支えないかと思います。
もちろんパクリがどうとかいう話ではなく。オリジナリティや細かい差異は当然あります。
また、このCoffee Talkの作者さんご本人が、VA-11 Hall-Aの作者さんから制作にあたってのフィードバックをもらった一幕もあったのだとか。Wikipediaより引用。
(ちなみにVA-11 Hall-Aについてはだいぶ昔にプレイしたもので、あまり細かいところを覚えてなかったりします)
(そのため、システムのどこが違う云々については詳細を指摘せずフワッと書かせてもらいました……ご了承ください)
(あちらも勿論すばらしい作品でしたよ! キャラクターみんな好き。アルマとドロシーが特に)
(という訳で気になったら両方プレイすればいいと思うよ!)
プレイヤーは夜間営業のコーヒー店を営みながら、様々な問題を抱えるお客さんたちへ温かい飲み物を提供し、談話に耳を傾け、時にはこちらからも話しかけ……といった日々を過ごすバリスタ。
デフォルト名も『バリスタ』になってます。私は遠慮なくトタンにしました。どうもトタンと申します。
会話に選択肢もなく、お店の外の日常生活パートもなく、プレイヤーにできるのはただただお客さんに飲み物を出すことだけ。
ので、手触りとしてはほぼビジュアルノベルゲームと言ってもいいかもしれません。
ちなみに、作れる飲み物はエスプレッソやカプチーノといったオーソドックスなコーヒーから、STMJやスパニッシュサハラなどのコアなものまで揃ってます。
さらに懐が広いなと思うのは「失敗作」がないところ。
VA-11 Hall-Aではレシピ通りに作れないと失敗扱いとなり廃棄確定ですが、Coffee Talkの飲み物作りには失敗がありません。
ネームドになるか、固有名のない「〇〇と××の入ったコーヒー」のような扱いになります。そして後者もお客さんに提供できます。
シンプルなぶん懐が深く、試行錯誤の余地があるように感じました。
たとえば「ほっこり感とさっぱり感を同時に感じられるやつない?」というような特定のメニューに限定しないオーダーの場合、ネームドでの正解も存在するのですが、それ以外の材料を混ぜたよく分からんものを出しても(そんなもん出すなよ)条件さえクリアしていれば両方「これだよこれ!」と喜ばれます。
また、レシピ一覧もゲーム内スマホアプリとして提供されているのですが、確かプレイ開始直後は半分もアンロックされてなかったはず。
3つの材料を選んで作るだけなので(分量などはなく、コーヒー・ミルク・ミルクでカフェラテになる等々)、お客さんの要望に従って作ったら新メニューを発見できたり、ロード画面に出てくる飲み物を再現するためにアレコレ試してみたりと、レシピを埋めるために気軽に試行錯誤できますね。
ちなみにエンドレスモードとして「何の制限もなくただただ飲み物を自由に作れるフリーモード」と「制限時間切れになる前にできるだけ多くのお客さんをさばくチャレンジモード」の二つが用意されています。
メインストーリーでは飲み物を捨てる回数が5回までに制限されていますが、フリーモードなら好きなだけ新メニューを開拓できるので、ストーリーの合間にそっちで息抜きしてみるのもアリかもしれません。
私? 私はクリア後にコミュニティガイドのレシピ一覧を見ました(台無し発言)。
ストーリーが気になってドリンクで失敗しているヒマがない方は別に攻略を見てもいいんじゃないかな。
どちらかというとストーリーの方が重要なゲームだと思うので……。
でも敢えて自力で試行錯誤しても楽しいよ! という話でした。
そうそう、ラテと言うからには当然ラテアートもできます。バリスタの腕の見せ所やぞ!
何も言うな!
(操作めっちゃ難しいんだって……あんなん誰でも地獄絵図になるって……)
【シナリオについて】
このゲームの最大のチャームポイントです。
これだけは予めネタバレしておきますと、人の生き死にに関わるようなドラマチックでシリアスな事件は起きません。この物語はプレイヤーことバリスタが、カフェ「Coffee Talk」という限られた空間からお客さんの人生の一幕を垣間見るだけの群像劇です。
バリスタはあくまで観測者。台詞はありますが、個性はほとんどなく姿も設定されていない、限りなく透明な存在です。
主人公はむしろ、常連でありいつも騒ぎの中心にいるフレイヤ(緑髪の女性)と言えるかもしれません。
かといってバリスタがいなくても物語が回っていくのかといえば決してそうではなく、何かしらの悩みや問題を抱えるお客さんに飲み物を提供することで、会話の糸口を作ったり、新しい療法を提供したり、時には本当に命を助けたり、大小様々の「きっかけ」を与えることがバリスタの役割です。
時にはお客さんが欲しがるもの(What they want)ではなく本当に必要なもの(What they need)を提供することも。
Coffee Talkの世界には我々のような人間だけでなく、ドワーフ、エルフ、サキュバス等々の西洋ファンタジー的な異種族が存在しており、カフェのある都市シアトルにも各々の理由で集まった彼らが共存しながら暮らしています。
時は2020年。都市の様相やSNSの発達などは現実に近く、その中で架空の種族が現代的な生活を送っている様子には奇妙な親近感が湧きます。
登場人物たちの種族も多種多様で(もちろん内面もバラバラです)、それぞれが魅力を持っているので、同じ舞台で繰り返されるシナリオでも「次に来るのは誰だろうか」「この間来てくれた子は大丈夫だったろうか」「今日は新しい人が来るだろうか」とモチベーションが続きました。これって凄いこと。
人生の一幕を垣間見ながら僅かばかりの手助けをするうちに、どんどん登場人物たちに愛着が湧いていって、終盤ではジワッとくる場面が多々ありました。
みんなみんないいヤツなんですよ……ほんとに……。
本作のシナリオに関しては「一定期間、作中世界と関わる=自分で時間をかけてテキストを読む」こと自体が重要と思われますので、致命的なネタバレなどは特にない(知ってしまうと面白味がなくなるようなギミックは存在しない)はず。
ただ、新しいお客さんと出会って、物語を最後まで見届けることが何よりも重要なので、どうか動画で済ませずにご自分の手で読み進めていただきたい……。
それだけの価値は間違いなくあると思います。
「自分で」やるからこそ報われる瞬間もあります。
【アートワーク、音楽について】
人間は無条件にドット絵に惹かれるようにインプットされているんですよね(?)。
常連のフレイヤを始め、人物のデザインは「現代にあの種族がいたら」を見事に表現しており、またその表情の豊かさもあって(アニメーションとしては枚数が少ないものの)生き生きとして見えます。
背景もオシャレだったり、窓の外では雨が降っていたり、往来を常に人が行き交っていたりと「夜のまったりしたカフェ」感が出ていて心地いい。
あと音楽!
音楽がマジでいいです。世に言う“チルい”というやつです。
Apple Musicでサントラが配信されていたので有り難く聞いております。最高……。
【言語について】
本作は日本語ローカライズが非常に丁寧だとお聞きしていますが、今回は英語の勉強になるかな〜という期待から英語で遊ばせてもらいました。
そんなにマニアックな単語は出てこないので(特定の登場人物を除く)、中学英語程度の文法をマスターできていれば、あとはGoogle検索の協力を仰ぎながら問題なく読み進めてゆけるレベルかなと思います。
【実績について】
苦行レベルのものはほとんどなく、ストーリークリアで半分取れて、残りはちょっとした工夫だけでコンプリートできる感じです。
シナリオの周回開放要素については、プラスもう1周で問題なく、攻略を見れば特定日のリプレイだけで周回さえ不要なのでプレイ時間的にも重くないと思います(早送りもマジで速いですし)。
放置時間やフレイヤの小説を眺める時間も含めて10時間ほどで完全クリアできました。
個人的に一番苦労したのは「ラテアートに1時間かける」の実績。
フリーモードのラテアート画面で放置すりゃいいっちゃいいんですが、スイッチの自動スリープ機能を切り忘れていたもので、タイマーをかけて待機していた時間がパアになったりと散々でした。スイッチでやる方はお気をつけて。
チャレンジモードの50人斬りはそんなに難しくはない……はず。
体感ですが、50人を越えたあたりから難問が増えたので、実績を越えてまで自己ベストを突き詰めようとなると流石に苦行になる気がする。まあそこまでいくと自己満の世界なので……。
感想は以上です。
これほどの名作を寝かせてしまっていたとは(このブログで一年半前に言及して以来ですね)。勿体なかったな。
どうあれ再発見できてよかった。
Episode 2はどうなるか分かりませんが、どのような形であれリリースされるのであれば必ず買うつもりです。
ここのところアタリのゲームが続いていて嬉しい限り。
次は何の感想になるかな。今年は名作ラッシュになりそうですね。
それではまた次の日曜に。