#140 Potion Permitでミニミニミニゲーム
2023.04.20のIndie Worldで紹介され、二つ前の記事(#138)にて「買ったぜ!」と宣言したPotion Permitの話。
この連休でチマチマと進め、ようやくメインストーリーらしきものをクリアしたので感想を書きます。
ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダムのリリースに間に合って良かったぜ!
ネタバレなしの記事を目指しますので、購入を迷っている方はよければ参考になすってください。
ただし、当方はルーンファクトリーシリーズにどっぷり浸かっていた経歴がありますので、そういう“スローライフシムの先達”の記憶を元に諸要素をジャッジする傾向があります。
その点についてはご了承ください。
とはいえゲームシステム的な共通点はそこまで多くない……はず。どちらかというとStardew Valleyフォロワーとして見た方が正確かもしれません。
前置きはこれくらいにして、以下本文。
【ドット世界で薬師スローライフ】
皆さんもご経験がおありかと存じますが、
「ドット調のゲームを遊びたい」
「スローライフ系のゲームをやりたい」
という欲は定期的に湧いてくるものです。(?)
Potion Permitは、この欲を適度に満たしてくれる作品でした。
プレイヤーの分身である主人公は、ゲームの舞台である自然豊かなムーンベリーに薬師として派遣されます。
前任の薬師がやらかした(らしい)ことから最初の風当たりは想像以上に厳しいですが、メインストーリーを積極的に進めてゆけば、すぐに住民たちは受け入れてくれます。
丁寧なドットで描写された町を駆け回って住民たちとの親交を深めたり、フィールドに出て素材採集やモンスター討伐に勤しんだり、薬師として医療行為を行ったり。
充実した毎日を送りながら、“ムーンベリーと薬師との因縁”を紐解いてゆくことになります。
そう、このゲームの主人公は薬師なので、農業などは一切しません。その本分は薬の調合です。
フィールドで拾える草木の素材、モンスターのドロップアイテムは(石材・木材を除き)ほとんどが調合釜にブチ込めるお薬用のアイテムです。
これらには「火・水・風・土の四属性」と「調合釜に入れるときのタイルの形」が決められており、作りたい薬の条件に合わせて素材を入れてゆくと……
こんな感じでお薬が作れます。ワーオ簡単!
条件さえ満たせば素材の選択は自由なので、在庫が足りなければ違うレシピで間に合わせるなんてことも可能。
さらに累計で5回作ったお薬はレシピ登録(使った素材を登録し、組み合わせパズルをスキップできる機能)もできるので、在庫に余裕があれば薬をある程度作り置きしてしまうのも良いですね。
更には余った薬を売ってお小遣い稼ぎもできます。金策に。
ゲームの大まかな流れは以上のとおり。
細かい部分の感想については後述します。
お値段はスイッチ版で1980円。この値段分は確実に楽しめるはず。
私のクリア時間は30時間ほどでした。効率などはあまり気にせずダラダラやっていたので、やろうと思えば20時間も切れるはず。
【思いの外しっかりしたメインストーリー】
そもそも何故このムーンベリーでは薬師が無闇矢鱈に嫌われていたのか。それがメインストーリーの主軸となります。
このゲームの中で最もしっかりと作られている要素は『ストーリー』かもしれない。だいたいドット絵と同点くらい。
物凄く感動するとか、予想外のどんでん返しがあるとか、そういった類のシナリオではありません。フィールドで拾える文書とかでだいたい類推できます。
が、ちゃんと「住民の事件に対する認識」「実際は何が起こったのか」「それをどう解決するのか」の筋は通っています。
問題提起と解決がセットになっており、その過程に一捻り加えてあり、プレイヤーにその捻りを解消するというタスクを任せてくれる。
これだけでメインシナリオに対する信頼感はグッと上がります。
安心して進められる。
主人公はただの薬師であり特殊能力を持ったスーパー万能マンではないので、問題にぶち当たったときはフィールドワーカーたちや市長に相談しますし、自分では作れない機械の部品などは住民たちに協力を仰ぎます。
住民たちと協力して島に残った“かつての事故”の余波を取り除いてゆき、その過程で住民たちのことを知ってゆく。仲良くなり、信頼を得る。
「島と薬師の確執の解決」と「住民たちの信頼獲得」が同時に進行する。地味に上手い構図。
【ミニゲームそしてミニゲーム】
ここはちょっとした苦言。このゲーム、とにかくミニゲームが多いです。ミニゲームだらけ。調合、診療、研究、すべてミニゲーム。
これら医療行為を攻略wikiとか作られちゃうくらい本格的な仕様にしろとまでは言いません。そんなに難しかったらこっちが折れるし制作側だって大変です。
むしろお手軽にできるからこそ、馴染みのある農家ではなく、新たな職業・薬師になれる訳で……。
が、このミニゲームの何が困るって、戦略性も何もないド簡単な内容であるクセに、時間をやけに食うんですよ。
薬の調合は先述の通りパズル。これはまだいい。最小の手数でマス目を埋めるのはそこそこ楽しいです。欲を言えば最初からレシピ登録を解放して欲しかったけども。
住民の治療は三種類。
一つ目は音ゲーもどき。イメージとしては一列しかなくて低速&少なめノーツのDDR……?(逆に分かりづらい)難しくないので慣れてしまうと退屈です。無音だし。せめてゲージが貯まったら即終了になってくれれば良かった。
二つ目はボタン記憶。方向ボタンがランダムに3〜4回光るので、それを記憶して押すだけ。3回成功で完了。本当にそれだけ。
三つ目は弾幕ゲー。三列のラインを移動しながら流れてくる病原菌的な何かを避けます。音ゲーもどきと同様に流れが大変ゆっくりなので、避けられないことはまずありません。ライフも4か5くらいあるので、何度か当たっても問題ナシ。
住民たちはだいたい一日おきに体調を崩し、クリニックの診療ベッドに勝手に入ってくるので(これも謎の仕様だがゲームだと割り切ろう……)無視する訳にはゆかず、結構な頻度でこれらのミニゲームをやることになるんですよね。
しかもベッドに入った住民にはライフが設定されており、4日間以上放置することはできません。放置するメリットもないので即刻対処する以外の選択肢はありません。
で、研究。
これが一番戦略性がない。もう少しなんとかならなかったのか。
何と説明したものか……研究のミニゲームは「答えを教えてくれるダイヤル式自転車のカギ」のようなものです。
先述の四属性が決まった配置で虫眼鏡の中に配置されており、各ポイントを選んでボタンを押すと四属性を切り替えることができます。
で、当たりの属性が表示されたらシャン! とSEを鳴らして知らせてくれます。ダイヤル式のカギで言うと「正解に当たったら音が鳴る」。
まあ、外す訳がない。
ただダイヤルを回すだけの作業なのでゲームと呼べるかどうか。
研究をする場面は限られているので、しょっちゅうやらされずに済むのだけが救い。
まあ切々とミニゲーム地獄について語りましたが、決して「だからPotion Permitはクソゲー」と言いたい訳ではありません。
素材を刈り取りにゆくとか、モンスターをしばくとか、そういう「このテのゲームに求めている楽しみ」はちゃんと入っているので、ミニゲームでプレイ体験が間伸びしてしまうのが勿体無いなぁと思った次第です。
作業で水増ししなくても十分に面白いはずなんだけどね。
米2合に対して牛丼の具が小盛り分しかない感じというか。
【渋めの収入、経験値、友好度】
これも「ちゃんと楽しめる部分はある」と前置きした上での苦言。
このゲーム、釜の強化(入れられる素材数の上限が増える)や拠点拡張(料理などをアンロックできる)に相当な量のお金・木材・石材を要求してきます。
更には道具まで同じくらいの量を要求してきます。お金はともかく木材・石材が大量に必要なのは何故……?
で、木材・石材は終盤になると余裕が出てきますが、お金はいつまで経ってもカツカツです。
メインストーリーを中心にやっていたら拠点拡張を半分も進められなかったよ。道具と釜の強化最優先でこの有様。
薬を売る、治療する、依頼を達成する等で収入を得られますが、金額設定はいずれも(必要となる額に比べて)控えめです。
依頼達成に関しては機会そのものが少ない。役場に置いてある依頼ボードは週一の更新を待たなければならない。
報酬が渋いのはまあ良いんですが、せめて要求数を甘めにするとか……手心を加えていただきたかったですね……。
前項のミニゲーム然り、どうも引き伸ばしのケが見受けられます。
せっかく面白いゲームなんだから余計なことをせんでもいいのに。(このコメント自体が余計なお世話だけども)
スローライフ要素の一つである釣りと、毎日話しかけることで上がる住民の友好度。これらも増加量が非常に渋い。
友好度については多少疎かにしていても後からカバーできるように専用アイテムが用意されていますが、釣りについては本当に何もフォローがない。
一回の釣りにゲーム内時間で30分〜1時間かかるのに、貯まる経験値は微々たる量。気が遠くなります。
住民の一人をロマンス対象として狙っていたのですが、超ハイレベルな釣りをお付き合いの条件として提示されてしまったので、流石に心が折れて諦めました。私のPotion Permitはメインストーリークリア時点で終了です。
この辺はアップデートとかで緩和されたりしないかと密かに期待しています。
あるいはMODで好き勝手調整できるPC版の方が良かったか。調べた限りではミニゲームスキップMODなんかもあるようだし……。
【値段相応ではある】
とまあ色々と言いましたが、何度も書いているように「欲しかった要素はある」ので、2000円弱でこれを遊べるのであれば妥当かな……と納得できる水準ではありました。
クリアまでの30時間、最初から最後までずっと楽しかった訳ではありませんが、素材・木材・石材を集めて攻略する体験、自力でクリアできた達成感などは十分に味わえたので満足です。必要十分。
オススメ度で言えば星5つのうち星3.5くらいです。値段とプロモーション動画を見た上で納得して買うなら問題ないんじゃないかな。
連休中にクリアできるタイトルを探していたので、その観点で言えば本当にジャストフィットなゲームでした。有り難かった。
これで心置きなくハイラルの大地に旅立てます。
それでは、今日の記事はここまで。
また次の日曜に。