週報タルトトタン

よく寝て、よく食べ、日曜ものかき。

#022 おいしいごはんと葉っぱの小包み


 仕事が遅くまで続いたもんだから、夕飯を一から用意するだけのエネルギーは残ってなくて(ガソリンメーターのF〜Eでいえば間違いなくEの方)弁当でも買って帰ろう……とほっともっとに立ち寄ったあの日。
 そこで見かけた新商品「牛すじ味噌煮込み重」のポスターに、こう書いてありました。


 「牛すじ
  こんにゃく
  ごぼう入り」


 可愛い。
 直感でそう思いました。このフレーズ、やけに可愛い。これをポスターにプリントした広報担当さんは多分意図しちゃいないだろうけど、妙にチャーミングに感じる。

 注文した弁当を待つ間、そういえば昔からこういう風に全く関係ない場所から可愛さを感知する瞬間があったことを思い出しました。
 今日はこの妙な感覚についてつらつら考えてみましょう。
 主観も主観の与太話で、オチも何もあったもんじゃない記事になりますこと、あらかじめお断りしておきます。

 

  

 端的に言うと、あの広告のメッセージをコアのコアまで突き詰めると「おいしいごはんがあります」になる、という点に魅力を感じるんですよ。
 もちろん牛すじ、こんにゃく、ごぼうを取り寄せるにも数多の経済活動があって、またそのポスターがその店舗に貼られるまでも広報担当の方や印刷会社の方や店長さんの努力やご判断があったものと理解していますし、それを茶化す意図は全くありません。もしそう聞こえたならごめんなさい。
 が、「おいしいごはんがあります」を人間が人間に対して発信しているというのは、しげしげ眺めてみるとちょっと面白い。

 

 多分ここまでの説明ではピンと来ない方もいるんじゃないかと思うので、例えばアリとかの「より小さい存在」で読み替えてみましょう。

 アリが文明を築き、食糧調達の際に「この先 アメちゃん あります」って看板を立てていたとする。
 ほらかわいい。かわいいじゃないですか。

 ちなみに看板は使わないにしても、現実のアリも食糧への道筋をフェロモンで示したりしてるそうです。アリの生態は興味深い。

 ボールペンのインクの成分にシロアリの道しるべフェロモンに近いものが混ざってるとかで、紙の上に書いたボールペンの線に沿ってシロアリを歩かせる実験なんかもあったそうです。
 ※ドヤ顔で言っておきながら申し訳ないのですがシロアリはアリではなくGの仲間らしいです。

 

 常にとは言いませんが、ふとした瞬間に人間として培ってきた先入観がストンと抜けてしまって、自分が人間じゃなかったとしたらどう見える? というのを考えたりします。
 そういうの楽しくないですか?

 

 似たような発想で、昔からカバンという道具がやけに好き。
 好きといっても使う分以上に買い集めたり、いかにもな感じのブランド物を好んだりってことではないのですが……。

 いきものが自分に必要なものを道具に包んで、体にくっつけて歩き回ってると考えるとこれもかわいい。
 どんなにカッコよくオシャレにデザインしても、「一度にたくさん運べるようにしたい」がコアな訳です。
 たくさん運べて便利だね……たのしいね……(にっこり)という目でついつい見てしまう。
 自分の為に買うときも、ついつい容量のデカいものを選んでしまいます。ちっちゃい洒落たヤツにはどうも縁がない。

 

 これも前述の文明アリに例えてみましょう。
 アリが手近な葉っぱで砂糖のツブを包んで持ち運んでいたとしたら……?
 ほらかわいい。かわいいじゃないですか。

 ちなみに(また脇道に逸れる)実際に葉っぱで何かを包む虫といえばオトシブミがいますね。
 彼らは自分で運ぶために卵を包んでる訳ではありませんが、あの端正な仕事ぶりは見ていて気持ちがいいです。

 

 もう自分でも何を書いてるか段々分からなくなって来てます。どうしよう。
 しかし人間一回くらいはそういう感覚に囚われることがあるんじゃないかと思いたい。

 サッカー観戦の最中に「実際、足だけでボールを操れるのすごいなぁ」と感心する瞬間ありません?
 それですよそれ。

 

 などと徒然に考えつつ、ほっともっとで弁当を買って帰った晩でありました。
 なお、選んだのは件の牛すじ味噌煮込み重ではなく「おろしハンバーグ弁当」だったことを申し添えます。
 肉肉しく、かつおろしでサッパリしていて非常においしかったです。
 今までの前置きはなんだったというのか。

 

 

 前後関係も起承転結もオチも何もあったもんじゃない思考を書きつけたところで今日はここまで。
 さて次回は何を書こう。
 また次の日曜に。