週報タルトトタン

よく寝て、よく食べ、日曜ものかき。

#077 小学生あほトレンド


 ちょっと色々立て込んでて、直近の新鮮なネタがない。
 どうしたもんかと眺める窓辺にまた雪が積もり始めて、ふと大昔のアホばなしを思い出したので今日はそれを書いてみます。

 私は無事でしたが良い子は絶対にマネしないでね。マジで。
 念のため前置きしておきますが法に触れる内容じゃありません。
 関係者は今も全員健康ですが、同様のアホをやった場合の健康を保証するものでもありません。
 前置きおわり。

 

 

 小学生低学年のちびっ子たちって、やたら妙なもんを流行らせたがりますよね。
 私が子どもだった頃も、思い返せば訳の分からんブームが興っては廃れていった覚えがあります。

 なんかこう……定規をペンで押して机の上で戦わせるやつとか。
 牛乳のフタをいちばん多く集めた子が一目置かれるとか。
 マンホール踏むと不幸になるとか、逆に色んな種類のを踏んだ者が偉いとかなんとか。

 隙あらば「何故そんなものを?」と大人が首を傾げるようなものをローカル・ブームに仕立て上げていたような気がします。
 じゃんけんを始めとする手遊びもローカル性が色濃く出たりしましたね。隣町に行くだけで掛け声が違ったりね。

 

 私も例外なくチビッコたちの中にあり、流行り廃りに流されたり流されなかったりとせわしない小学生時代を送っていた訳ですが、その中でもトップクラスでアホなものが流行ったのがXX年前(守秘義務)、小学生一年生の冬のことでした。

 あの当時、鉛筆やら消しゴムやらがたくさん入る、文字通り「ハコ」な筆箱が主流でしたが(今もそうなのだろうか?)、とある男子がその筆箱の小さい仕切りの中からキラキラ光る“何か”を取り出しているのを目にしました。
 で、それを……口に入れる。
 彼はどうやら何かを舐めていました。

 間食に目がない小学生。
 それを目敏く見つけ、食べ物の気配を察知したクラスメイトが何人か寄ってきます。

「何食べてんの?」
「塩飴」
「塩飴?」

 いくつか持っている、ということでその暫定・塩飴は各人に配布され、「給食の時間でもないのに食べ物(?)を口に入れるなんて」と背徳的なスリルを味わいながらおそるおそる舐めてみると……。

「しょっぱい」
「しょっぱいね」
「塩?」
「でも粉じゃなくてなめるのだよ、つぶだよ」
「じゃあ飴だね」
「塩飴だ」

 かくしてこの《透明で、一粒だいたい5〜10mmくらいの超しょっぱい何か》は塩飴と命名され、瞬く間に学級の子どもたちの間に広がってゆきました。
 もちろんなんとなく後ろめたさがあったので、先生や親の目に触れないところで秘密裏にやりとりしていました。

 美味しいなんてことは全くなく、ただエグい塩辛さが口の中に残るだけの、オヤツとはとても呼べない代物でした。
 が、当時のガキンチョたちからすると「オヤツ禁止の学校で、子供たちしか知らない謎のオヤツ(?)がある」という事実が面白かったのか、うまさはともかく面白いもんだ! というノリで普及していったように記憶しています。
 最初に持ち込んだ男子も調子に乗って「箱にいっぱい入ってたんだ」と追加供給しだす始末。

 

 で、塩飴とのファーストコンタクトから数日経ったある昼下がり。
 確か体育の時間だったと思います。
 跳び箱やら何やらの合間に、筆箱から何かを取り出してはペロペロしている小学生の様子を先生が見逃す訳もなく。

「田中(仮)〜、今なに舐めた〜?」
「……」
「怒らないから」
「……(口から塩飴出す)」

 先生、ブツを検分。
 どこで入手したかなど入念に問い質し、その場で一旦塩飴は先生に回収されることに。

 

 学級会開かれました。

 

 しこたま叱られました。
 「道端の融雪剤は絶対に口に入れちゃいけません!!」と。

 

 ……いい加減くどいと思うのでネタバラシしますと、最初の少年、冬になると撒かれる融雪剤を拾っては(場所によっては在庫が入った箱なんかも道路脇に配置されてる)舐めるというとんでもねぇ大冒険を敢行しており、食べ物に興味津々なチビッコたちの間でムーブメントが巻き起こってしまったというのが真相でした。

 大人になってから振り返るとエッグい暴挙だな!
 そりゃ先生も真っ青なるわ!

 

 主成分は塩化ナトリウムなので当然塩の味がしますね。
 塩分不足を補うために、野生のサルが野山から降りてきて舐めるなんてケースも報告されているようです。

 猿かおまえらは!(私もです、ごめんなさい)

 

 その後、小学一年生たちの間で流通していた塩飴改め道端の融雪剤は、教員および保護者たちにより無事全粒回収され、関係各位a.k.a.アホどもはこってり絞られたあと健康被害が出ないか観察される運びとなりました。

 特に体調不良者は出なかったのが不幸中の幸いというか、丈夫で何よりというか……。

 

 

 この話にオチなどはありません。
 ただただ、何も知らない(または怖いもの知らず)というのは恐ろしいね! というだけです。
 今お子さんを育てている方はどれだけ苦労されていることだろうと思います。子どもって目を離した隙になんでもするんだね(する側の実体験)

 ほんと、関係者に具合悪くなる子が出なくてよかった。大人になった今、思い出すたびゾッとします。笑い話でもありますが。
 あの時の先生、肝を潰したろうな……ごめんなさい……。

 

 オチもなにも「拾い食いはやめよう!」くらいの野生児的訓戒しか得られなかったところで今日はここまで。
 何がどうしてこんな昔話を書く羽目になったんだか(ネタがなかったからだよ)。

 それでは、また次の日曜に。