週報タルトトタン

よく寝て、よく食べ、日曜ものかき。

#124 Cookie Clickerは壊れない

 

 クッキーを焼こう。
 たくさん焼こう。
 クッキーを焼くためにクッキーを焼こう。

 

 知る人ぞ知る放置系クリックゲー、Cookie Clickerの話をします。
 2013年に彗星のように現れた“例のクッキーを焼くだけのゲーム”が、Steamに移植されたのはつい最近のこと。
 かつてはブラウザ版で少しやっては忘れ、少しやっては忘れを繰り返してきた私ですが、お金をかけてしまえばすぐには退けなくなるだろうとウィンターセールに乗じて再びベーカリー業に戻って参りました。

 そう、買ってしまったのが運の尽きでした。
 これは年末年始をクッキーに変換してしまった挙句、クッキーを壊すべくあらぬ方向に暴走したアホなプレイヤーの話です。

 

 さて、予めいくつか注意事項を書いておきます。
 この記事には、

  • 外部ツールの使用(いわゆる連打ツール)
  • あらゆる種類のModの利用(クリック補助からtick秒数操作まで勢ぞろい)
  • セーブデータ解析(弄るまではしない)
  • そして全ての表実績に関するネタバレ(隠し実績もいくつか)

 などの要素が情け容赦なく含有されています。むしろそれらに関する話しかしません。手焼きの温かみなどはとうの昔に失われました。

 

 念のため表明しておきたいのは「外部ツールを使おうが、チートを使おうが、プレイヤー本人が納得していればそれでよい」ということ。


 手焼き(完全バニラ・人力)に拘るプレイスタイルもよいでしょう。尊敬します。
 データを弄って挙動を検証してみたり、ソースコードを除いて遊ぶのも楽しいでしょうね。技術がうらやましいです。

 

 どう遊ぼうがCookie Clickerは許容してくれる。
 そこにあるのは果てしない、底の見えない、ただただぼっかりと空いた大穴のようなクッキー世界の深淵だけです。
 我々はクッキーを焼くことしかできない。

 

 冒頭から正気を失いそうなのでさっさと本題に参りましょう。
 以下本文。

 

 

 

 

 それにしてもSteam版で追加されたC418氏のBGMいいよね。大好き。
 氏の音楽はMinecraftのBGMのころから親しんできました。サントラも買いました。よく眠れるね。
 以降はクッキーの話しかしなくなるので先に書いておきました。BGMのためだけにも買う価値があるよSteam版。バイナウ。

 

 

 他にブラウザ版と違うことがあるとすれば、このゲーム(と呼んでいいのだろうか)はSteamワークショップに対応しており、素人でもmod導入をすることで補助ツールを容易に利用できるという点。
 ブラウザ版だと使用ブラウザが限られたりCookie(IT用語)が飛んだりして何かと不便なので、圧倒的快適さでクッキーを焼けるようになったと評することができましょう。
 ちなみにSteamクラウドセーブにも対応。放置中にブルスクを起こすとデータが壊れる等の報告もありますので、適度に従来のセーブ書き出しもしておくともっと安心ですね。

 

 

【連打ツールはThird-partyのはじまり】

 最初は真面目にやっていたんです。
 (まるで犯人が犯行動機を白状するような語り口である)

 

 ポチポチポチポチとクッキーをつつき、クッキーが貯まったら上位施設を購入して効率を上げ、ゴールデンクッキーが出てきたら適度に拾って一喜一憂する。
 それだけの一般的なベーカリー生活でした。

 クリックがしんどくなってきた頃、ブラウザ版をちょくちょく触っていた時期にDLしてきた外部の連打ツールがあることを思い出したんです。
 それくらいなら問題ないだろうと。何故なら表実績にも『奇怪なクリック』なんてものが用意されているから、開発者も想定しているだろうと言い訳して使い始めました。
 連打ツールを使い始めると、たまにやってくるClick Frenzy(数十秒間、クリックによるクッキー生産数が777倍になる)の効率が跳ね上がります。高度成長期もびっくりの右肩上がりです。
 始めのうちはこれくらいの悪戯で満足していました。

 

 しかし連打ツールだけでは対応できないことがある。それがゴールデンクッキー(以下GC)です。
 ランダムに画面に現れるヤツを仕留めるには、定点を連打し続ける外部ツールでは対応できない。放置する場合、偶然当たり判定にぶつかるのを祈るしかありません。

 暫くは「それもまた仕方ないか」と諦めていたのですが、ある時、連打ツールを稼働させていることを忘れて偶然視界に入ったGCを触りにいってしまったんですね。

 連打されるスクリーンのあらぬ場所。
 設定画面、施設購入メニュー、統計……。
 結果、設定などには影響は出ませんでしたが、上位施設を買おうと貯蓄していたクッキーがグランマやカーソルに消えてゆきました。

 

 この事件を境にGCを自動でクリックしてもらうくらいなら許されるのではないか」と考えるようになりました。
 (事件といっても、文字通りケタが違う今となってはミジンコほどの影響も残らない些事だった訳ですが)
 (このゲームそんなんばっか)

 

 そこでワークショップから導入させていただいたのが、Cookie Assistant』
 前提modに『CCSE』を要しますが、これはmodマネージャなのでCCSE自体に特別なゲーム上の機能はありません。
 『Cookie Assistant』は自動で大クッキーをクリックしてくれるだけでなく、GCの自動取得、施設とアップグレードの自動購入等々、かなり広範なサポートを行ってくれるスグレmodです。
 ありがたいことです。

 ただし、当時は他の項目をよく理解できなかったので(自動詠唱って何だよ……等)序盤は「大クッキー自動クリック」と「GC自動クリック」だけを設定しました。
 それだけでも連打ツールとは利便性が段違い。
 連打ツールはマウスを実際にウィンドウ上に乗せておかねばなりませんが、Cookie Assistantはマウスを自由に使えます。ネットサーフィンもなんでもござれ。放置し放題。

 

 さて、そうこうするうちにCookie Stormがやってきます。
 画面いっぱいにGCの嵐が巻き起こり、クリックし放題クッキー焼き放題になる激アツイベントです。律儀に手動クリックでどうにかしようとすると、先述の誤購入事故に近いことが起こったりします。

 『Cookie Assistant』は優秀なので、Cookie Stormのクッキーを瞬く間に全撃墜してしまう訳です。自動クリックを入れているので当然のことです。
 が、この体験が私の中の何かを変えました。

 Stormが来る前の名声ポイントはだいたい25。50を過ぎたら初めての転生にいこうかな~と考えていました。アシストmodのお陰で、その目標もさして遠くないように思われました。
 が、Cookie Assistantの効果は絶大でした。
 画面いっぱいの取得メッセージに呆然としている隙に、新たなClick Frenzyが発生。
 何が起こったのか理解するころには、名声ポイントは500まで跳ね上がっていました。ケタが違うのよ。

 実際、そのときはCookie Clickerを私経由で知って始めた友人(なんてテロをしてしまったんだ)と通話をしている時で、

 

「アッアッアッアッ!?」
「おい、どうした」
「やべえよ、クッキー止まんねえ」
「クッキーが止まんねぇってどういうこと?」
「私……私そんなつもりじゃ……」

 

 みたいなアホな会話を繰り広げていた記憶があります。友人には本当に申し訳ないことをしたと思っている。

 

 この名声ポイント爆上がり現象(これも現状からみれば毛先ほどの些事ですが)を経験した時、自分の中のタガのようなものが外れる音を聞きました。

 こんな稼ぎ効率、手焼きじゃ絶対に出せない。私はもう戻れない場所まで来てしまった。
 それならば、もうmodやツールの導入を遠慮する必要なんてないじゃないか。

 

 

【ありがたいThird-Partyたち】

 それまではクッキーをクリックする以外は自力でやろうと決めていた私ですが、タガが外れてしまってからは「自動詠唱便利じゃん。ONにしよう」「施設自動売却ってゴザモクのための機能だったのか。ONにしよう」「農園と株価を便利にするmodなんてのもあるのか。導入しよう」と一種の文明開化を迎えました。
 こうしてクッキーの都が花開き、栄華極まる時代が訪れた訳です(?)。

 

 "年末までに"導入させていただいた主軸のmodたちは以下の通り。

 

 [CCSE]
 前述のとおりmod導入補助mod。Minecraftで言うとForgeみたいなものです。これがないと始まらない。
 ロード順を簡単に弄ったりもできるので、各modの紹介ページで「最初の方に読み込んでね」とあったらそのように設定してあげましょう。
 あとは、導入したてのmodは基本的に無効設定になっているので、追加した際にはロード順画面を除いて有効化してあげましょう。

 

 [Cookie Assistant]
 これも前述のとおり、最初から最後まで主力となる自動クリックmodです。
 これがないと「ある目標」を達成することは決してなかったし、それを目指そうとも思わなかったでしょう。
 目指そうと思ってしまったのが運の尽きだったとも言えます。

 

 [Better Japanese Mod]
 日本語訳改善mod。公式の日本語訳はすこしカタいところがあるので、お好みに合わせて導入するとよいと思います。
 個人的にはフレーバーや実績の翻訳よりも単位・命数法の翻訳が有難かった。

 

 [Percentage Graph Mod]
 各施設にマウスオーバーすると見える「毎秒生産数(以下CpS)のうちどれくらいを占めています」とかのデータを、各施設の欄に表示してくれるmod。
 可視化されるって有難い。次の施設購入の指標にもなります。

 

 [Cookie Garden Helper - Reeloaded]
 農場を砂糖玉でアップグレードすると解放されるミニゲーム、菜園の補助mod。
 種の配置を覚えさせれば自動で植えてくれたり、新しい種類の植物をイチ早く収穫してくれたり、雑草を取り除いてくれたり、とにかく多機能。
 個人的には「1つの種で畑一面を埋める機能」が一番助かりました。最大になるとポチポチ埋めるの大変なのよ。

 

 [Stock Assistant]
 銀行を砂糖玉でアップグレードすると解放されるミニゲーム、株式市場の補助mod。
 バニラにはない、最安値・最高値・適正価格などの表示をしてくれます。助かる。
 ちなみに更新tick秒数を弄れる機能も搭載されているのですが、それについては後述。

 

 だいたい有名どころのmodを一通り入れてみた感じです。
 転生を2、3回行ったあたりで砂糖玉がいくつか手に入ったので、順次ミニゲームを解放していっている感じですね。

 菜園や株式は正直よく分からなかったので、とりあえず解放して適当に触るくらいに留めていました。
 アレかなり奥深いし、実績解放まで遠いし、なんなら積極的には触らなくてもいいかなくらいの気持ちでした。

 

 魔法の塔を強化して解法される『グリモア』の強さは速攻で理解しました。
 Forth the Hand of Fate、略してFtHoF。
 強制的にGCを呼び出す魔法。
 ようやく「自動詠唱」の意味を理解し、GCのバフがついた瞬間に詠唱するよう設定しました。
 これで通常Frenzy(CpS*7倍)とClick Frenzy(CpC*777倍)が重なればラッキーだな~くらいの認識。
 実際、詠唱できるようになったくらいの段階なら、この重ね掛けだけで十分に数字が伸びます。おいしいね。

 

 そしてこのあたりで「砂糖玉がどう足掻いても足りない」という事実に直面します。
 菜園にも手を出そうかなとLv1→Lv2への強化ボタンを押したのですが、強化されない。
 砂糖玉残高は1個。
 要求数は……2個?

 つまり私は1レベル上げるのに砂糖玉1個を消費するものと勘違いしていましたが、実際は「レベル数と同等の砂糖玉を要求される」仕様だったわけです。
 1日1個手に入るとして、最大のLv9に上げるまで45個=1ヶ月半もかかる。
 眩暈がしました。
 どうする、私。

 

 

【しばらくバニラで遊ぶ】

 ここでしばらく年末年始の帰省のため、母艦のPCに触れず現環境のPCでクッキーを焼けない日々が続きます。
 その間、心に空いたクッキー型の穴をiPadで焼くブラウザ版クッキーで埋めるなどしていました。
 末期。

 そしてその際にようやく株式市場の仕様を理解し、面白さに気付いて数時間溶かすことになります。
 貴重な年始のお休みをよォ……!

 

 

【砂糖玉から始まる経過時間制御】

 さて、放置されたSteam版のデータでは順調に砂糖玉が貯まってゆきました。とはいえその数5~6個。農場の最大強化どころか要求数の足元にも及ばない数です。
 どうして砂糖玉の仕様をこんな風にしたのOrtail氏。

 

 更に、株式はLv1だけ解放しておけば大丈夫だろうとタカをくくっていたのですが、実際にはカーソルの方のLv上げを12まで要求するようで、農場よりも更に多い目標数に絶句することになります。
 私が……私が新参者であるばかりに……。
 きっと熟練者は寝かせたデータで砂糖玉をじゃんじゃん使っているに違いないんだ……(ただの憶測)。

 

 そこでなんとなしに眺めていたワークショップ。有志達のあらゆるサポートが揃う中、アタマに浮かんでやまない特徴的な絵柄を見かけます。

 

 それが[Sugar Lump Harvest]
 その機能は「砂糖玉を即収穫可能にすること」
 もう一度言います。
 このmodを導入すると、砂糖玉は常に収穫可能になります。

 

 ここまでやるんか、とは悩みました。開発者が「まいにちゆっくりやってね」と追加した要素を、一秒と待たずにぶっ壊してしまうことはCookie Clickerへの冒涜ではないかと。
 なんなら連打ツールで連打してしまえばバカみたいに砂糖玉が増えてしまうこのmodを入れて、プレイ体験が壊れやしないかと憂いもしました(今更すぎるけど)。

 

 しかし年末年始で有志の方が作られたCookie Clicker wikiを読み込んでいた私は知っていました。
 「各施設をLv10まで強化することで得られる実績がある」ということを。

 

 無理じゃんこんなの! 迷うまでもないわ!

 という訳で導入しました。
 (ここまでの大仰な逡巡はなんだったんですか)
 (実際は十数分くらいで解決しました)
 (人の意志は脆い)

 

 こうして、年末まではなんとなく避けていた「時間を超越しない」というラインさえ超えてしまった私が、新年に入って導入したのは以下のmodたちです。
 私の2023年はCookie Clickerを遠慮なくブッ壊そうとするムーブから始まりました。
 いい一年になりそうだね!!!!!!(腹からデカ声)

 

 [Sugar Lump Harvest]
 先ほど述べたとおり、砂糖玉を超速で増殖させるmod。変則砂糖玉も当然出てきます。
 砂糖玉を外部の連打ツールでつつきまくる等という冒涜行為に手を染めれば、たとえ300年かかっても手に入らない量の砂糖玉を手に入れることもできます。
 私は泣いてなんかいません。

 

 [Garden Speed Helper]
 株式アシストmodにはあったtick秒数操作が菜園アシストにはなかったので、別個で付け足したもの。
 これで1tick=5秒まで縮めることができます。
 なんなら「now」を連打すれば今すぐtick更新できます。
 「never」を押せば再起動するまでtick更新が停止します。
 菜園を真剣にやったことがある方なら分かると思いますが、当然これも砂糖玉並みのブッ壊れ要素です。

 

 [Stock Assistant]
 年末の時点で既に導入していたmod。
 年越しを経て株で利益を得ることを覚えた私は、その1tickが60秒であることを知り、更にこのmodが最短10秒に1tickを短縮してくれることを知ります。
 そうしたらもうやることは一つですね。

 

 

 封印は解かれました。
 まずは手早く、農場をLv10までアップグレード。
 次にカーソルをLv10までアップグレード。
 あとは暇を見て砂糖玉をつつき、ベーカー脳から順番にLv10までアップグレードしてゆきました。
 その過程で砂糖玉関係の実績をコンプリートしました。
 こんなになってもね、嬉しいもんですよ実績はね、やっぱり……(くたびれた背中)。

 

 目の前で爆速乱高下する株を買っては売り買っては売り、表実績をすべて獲得。
 株の売買を自動化するmodもあるそうですが、個人的にはこのミニゲームは面白かったので自力でやりました。
 自力といっても1tick10秒ですけど。お手軽もお手軽ですけど。

 

 最大化した菜園で爆速の育成をつきっきりで行い、34種のタネをどうにか集めきりました。
 これは速度を弄ってもかなり苦労しました。面白かったけれど。
 生えては消え、消えては増殖するカビや雑草を見ていると、まるでライフゲームを眺めているようで不思議と心が凪ぎました。
 ベーカー麦の新種生成爆誕とかも放置するだけで面白いことになります。

 

 改めてここに記しておきますが、これは“クッキーを焼くゲーム”に関する記事です。
 書いている私も分からなくなってきましたが、本来はそういうもののはずです。

 

 

【ここまできたら全実績】

 もうこの時点で、最近始めた人間では到底たどり着けない(大昔に始めた人であっても飽きて目指さなかったかもしれない)場所まできてしまっていたので、せめてものCookie Clickerへの礼儀として、表実績をコンプリートすることを心に決めました。

 

 いや、嘘です。綺麗ごとを書きました。
 本当は「modをいくら導入して“手段”をインフレさせても、まだその先の実績が用意されている」という状況を心底楽しんでいました。
 ここまでかなりの頻度で「私はズルをしてしまった」というニュアンスの言葉を使っていますし、実際今もCookie Clicker本来の楽しみ方はできなかったんだろうなぁと悔やむ部分もありますが、そこまでしても全然テッペンまで辿り着けないんですよ。

 

 ズルをすれば一瞬で最大数なんてクリアできるかと思っていたのに、そうじゃない。

 ゲーム側は遥か彼方、数でいえば10無量大数までのマイルストーンを設定している。
 一方私はあらゆる手段を使ってそこを目指しながらも、数十時間経った今も到達できていない。

 ブッ壊そうとしているのに全くブッ壊れる気配がない。
 むしろフェアに遊んでいるような手応えすらある。
 奇妙な感覚でした。

 

 

CpS頭打ち問題】

 さて、おセンチな気持ちはさておき、私のクッキー生産数はかなりイイところまできていました。
 v2.048時点で実装されている秒間生産数1 septendecillion(1e+54)は既に達成していましたが、そこからが伸びない。

 

 一方でメイン実績ともいえる「今生で焼いた総クッキー枚数」の最大実績は、先述のとおり10無量大数
 もうケタ数では伝わり辛そうなのでe+表記で統一します。10無量大数は1e+69です。

 繰り返します。1e+69です。

 

 つまり単純計算すると、常にFrenzy(CpS*7倍)を発動させ続けたとして、そして1秒も休むことなくCookie Clickerを回し続けたとして、秒間生産数最大実績時点でのCpSではアホほど時間がかかります。
 ザッと計算してみましたが、放置だけでやろうとすると、我々の生きている間にはまず達成できないでしょう。
 我々どころか、この文明が残っているかすら危うい。
 地球はたぶん残っているはずです。
 それくらいの途方もない時間がかかります。

 

 CpSを底上げするための施設購入、アップグレードも買いつくし、果ては天界アップグレードまで総取りしたとしても、だいたいCpSは1e+57から1e+58くらいで頭打ちになります。
 これでも最大秒数実績から千倍・一万倍された程度なので(“程度”です。もうマヒしています)いずれにせよ我々の死に目には間に合いません。

 

 こうなると、このゲームの中でCpSを増加させる方法はほぼ一つに限られます。
 GCです。

 

 GCはランダムで様々な恩恵をもたらしてくれます。CpSやCpCの一時的な上昇、クッキーのオマケ、大量のGC……その中の「一時的な上昇バフ」は、効果によっては重複してかけられます。
 ここまで来たらみんな大好きになっているであろう、そう、乗算です。

 

 

【末期のGCフィーバー】


 ここからがGC厳選の始まりです。地獄への片道切符ですわよ。

 この前にも少し書きましたが、最初のうちは天然Frenzy * Click Frenzy * ゴザモク(施設を売却した数だけ10秒間バフがかかる)だけでも十分稼げます。
 しかし今はそんな程度では満足できません。なんせ自分が生きているうちに10無量大数=1e+69のクッキーを焼かなければならないのですから。

 

 ここまでいくつもmodを導入してきましたが、ここにきて外部ツールに再び脚光が当たります。
 神ツール、Cookie Clicker FtHoF Planner』

 

fthof-planner.vercel.app

 ここにセーブデータのExport文字列を入力することで、グリモアによって召喚されるGCの効果を正確に先読みすることができます。
 FtHoFはランダムではありません。転生した時点で順番が決まっています。
 その順番を可視化してくれるのが上述のサイトです。
 有難い。有難すぎる。

 

 決められた順番のうち、Building Special(以下BS、もう説明しません)やClick Frenzyが続いているところを探り当て、次の天然GCでバフが重なったところにブチ当てれば倍率ドンさらに倍ってワケ。


 もう何を言っているのか分からなくなってきた。
 去年末の私に話したとしてもきっと理解してもらえないだろう。私は遠いところまで来てしまった。

 

 このあたりからざっくりとした計算すら諦めるようになりました。
 「バフとバフをたくさんかけあわせればつよくなるだろ」位にしか考えてなかった。
 頭がどうにかなりそうだった。

 

 最終的に私が選んだのは、以下の組み合わせでした。

 

  • 天然Frenzy(これは畑一面を黄金クローバーで敷き詰めておけば延々と効果時間が延び続けるので簡単)
  • 天然BS(これが本命。オート詠唱をOFFにしてその時を待ちます)
  • FtFoHによるコンボ、BS*BS*CF
  • ゴザモクによる鉱山800売却
  • ゴールデンスイッチ自動ON

 

 半自動化したとしても相当な操作を要求されます。
 FtFoHを3回以上詠唱しているのはひとえに例の砂糖玉連打modのお陰ですね。要求数は1個だけなので人力でもいけますが。

 たしかこれらを同時に発動させたような覚えがあります。あまりに夢中だったのであんまり正確に覚えてません。スクリーンショットも撮れませんでした。無念。


 もはやどれくらいの倍率がかかったかすら把握できていませんが、気が付くと実績『Bottomless Pit』を取得していました。
 今生における累計生産数、10無量大数達成の瞬間であります。

 しばらく呆然としていました。

 

 

【どれくらい時間を溶かしたのか】

 もちろん本来は放置ゲーなので、回したまま寝るとか外出するとかで割り増しされていますが、modマシマシのつきっきりプレイスタイルであったため、たぶん半分くらいは実際に操作したりと何かしらかかずらわっている時間だったと思います。

 

 10無量大数達成まで100時間かかりました。きっかり100時間。
 実操作時間はだいたい50時間ということになりますね。

 

 もうね、なんならGhost of Tsushima超えてるのよ。
 こんだけズルにズルを重ねて、先人の有情に甘えまくって、それでもなお大作ゲーム並みの時間がかかった訳ですよ。
 プロのベイカー業者がやったらきっともっと早く進むかもしれませんが、まあそれはそれ。

 

 いずれにせよ、外部ツールでブッ壊してやろうという心づもりでいたCookie Clickerに、これだけの充実した時間を与えられてしまった。
 心底当惑しております。


 これバニラ=人力で実績全解除無理だよ!

 

 

【めでたく表実績を全解除】

 そんなこんなで、最大の難関『Bottomless Pit』を達成したあとは『Hardcore』や『Neverclick』などを拾い集め、昨日ついに隠し実績以外の実績をコンプリートしました。
 最後に残ったのは『黒猫の手』。GCを7777枚クリックするというアレです。頭おかしいんか?(火の玉ストレート)

 ゴールデンスイッチを一切オフにし、畑一面の黄金クローバーを用意するだけの簡単な作業です。これに追加で77時間かかりました。ばかなの?
 という訳で現在のプレイ時間は177時間です。
 今生ではいまのところ3.56e+68枚のクッキーを焼いています。
 もうこの辺でいいかな。
 おれつかれたよ。

 

 念のため最後の証拠画像をパチリ。

 

 

 他の歴戦のベイカーの皆さん方は私の10倍100倍の時間を溶かしておられて、背筋の伸びる思いです。伸びるというか凍るというか。
 これだけの激闘を経験してしまった今、私にはとてもバニラには戻れそうにない……。

 

 

【始まる! バニラせいかつ】

 と言いつつ、覚えておいででしょうか。iPadでプレイしていたバニラのデータがあると書いたことを。
 ある種の放置クッキーベイキング中毒となってしまった私は、これまで導入しまくったmodたちやブックマークのツール類すべてに別れを告げ、完全な人力でどれほどやれるか試してみたい衝動に駆られています。

 たぶんバカなんだと思う。

 

 改めてバニラの地平に立ってみて思うのは、実績はゴールではなく単純な節目でしかないということ。
 完全に集めきる必要はなくて、ただ「今日はケタが一つ伸びた」「今日は種が一つ増えた」それだけを楽しむ観葉植物の世話のような趣味にしたっていいのです。
 というか今残っている猛者たちは大半がこのプレイスタイルのような気がする。

 

 とはいえ実績達成率***%の項目を見て「これを100%にしたいな」などとムラッときてしまったあなたには、全力でツール導入をオススメしたい。


 無理です。


 人間には無理です。


 無理じゃなかったとしても、人生のかなりのリソースを食われることになります。


 あなたにとって人生はクッキーですか? いや逆か、クッキーは人生ですか?
 GCを7777枚クリックしようとモニタに張り付く時間だけでも70時間はかかるらしいことが実証されています。


 それでも行くというのなら止めません。

 

 

【壊れそうで壊れない、すこし壊れるクッキー】

 といった感じで、バカな年末年始を過ごしておりました。ああ楽しかった。

 

 無理難題をふっかけてくるCookie Clickerをあらゆる手を尽くして攻略してやろうとする過程は、もう一度書きますが、本当に面白かったです。
 問題解決の気持ちよさ、インフレの脳汁、どれも他のゲームでは味わえない。
 少し頑張れば手が届きそうなところに目標設定するのが本当にうまいゲームです。
 「この設定ブッ壊れてるだろ」と思いつつ頑張って目指してしまう。そんな調整がなされています。
 つまりこれは合法的な電子ドラッグです。

 用法容量を守って正しく放置してください。

 

 

 

 長々と綴りましたが、最後に一言だけ。

 ここまで完全に色々を飛び越えてやってきましたが、チートによるクッキー増量および通常実績解除だけは一度たりともしていません。
 (チート実績自体は興味本位で解除したけど、ただOpensesameしただけ)

 

 チート増量だけは許せなかった。
 それが最後の砦だった。
 それだけは最後の最後まで守り抜きました。
 だから私の中ではセーフです(?)。

 

 

 

 以上、クッキー時空からお送りしました。
 また次の日曜に。