#145 ゼルダTotK:ネタバレなしでクリア感想
大満足! リンクさんハイラルを縦断す。
祠と根を全開放、あと好きな防具のフル強化を済ませ、英傑武器などの目ぼしいミニチャレンジも達成したので、そろそろ『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』の総括的な感想を書こうかと思います。
ドッキドキです。
こんなに贅沢なゲームは久しぶりでした。これほどの満足感にあと何年待てば再会できるのだろう。
とりあえずストーリーに関するクリティカルなネタバレは避けて書きますが、ゲーム内要素にはどうしても言及することになりますので、「全てを自分の目で確かめたい」「一切の情報を入れたくない」という方はブラウザバックでお願いします。
クリアしたらまた会いましょう。
では、前置きは手短に、以下本文。
【BotWで作ったカツカレーうどん】
率直に、「ここまでやるか」と思いました。
大満足ボリュームのBotWを用意します。
空島、地底、洞窟を足します。
復興しつつある拠点と、そのコミュニティの豊富なエピソードを足します。
より自由なクラフトができるラウルの右手の能力を足します。
それらすべてのパーツをウルトラハンドで接着し、操縦桿を乗せます。
プレイヤーに握らせます。
(♪~愉快な料理のBGM)
(♪~愉快な鼻歌)
オッホ!
こうして出来たのがTotKです。
阿呆なの?(賞賛)
これだけの要素を盛り込んで、目立った破綻なくプレイヤーに遊ばせることができている。この完成度は異常。
カツも美味い。カレーも美味い。うどんも美味い。
だからって全部一緒くたにブチ込んで料理として成立させるなんて芸当、ゲームという媒体で出来るなんて思わないじゃないですか。
盛りに盛られたパーツを前に「新要素を知り尽くすまでが最高に楽しい」と大はしゃぎするのは、直近にプレイしたタイトルだとNo Man's Skyに通じるものがありますね。
そんな風に新鮮さを感じるほど、BotWをクリア済みの人間にとっても初見の要素が激増していて困惑しました。いい意味で。
BotWは言ってしまえば“新ゼルダ”の文法に慣れさせるための入門編だったのではないかとさえ思えてきますね。
【そもそもBotWとは何だったのか】
BotWと比較して云々という話をするにあたり、そもそもBotWそれ自体をきちんと理解しないとTotKを正しく認識して評価できない気がします。
ので一旦整理しましょう。
あ、当方はただのゲームの受け手であり、開発サイドの知識を持っている訳ではありません。その点はあしからず。
BotWの凄いところは「物理演算」「化学の実装」「起伏やバリエーションに富んだマップ」「解法を限定しない柔軟さ」でした。
物理演算。
まずモノが転がるだけでも従来ゼルダから見て異質。
ドロップが転がる、武器が転がる、ブロックがフッ飛んで落ちる、木が倒れる。これによりフィールドに命が吹き込まれました。
化学の実装。
前述の物理に加えて、モノが燃える、濡れたものは導電する、などオブジェクトの変化に伴う様々な現象が実現されました。
これによりモノを燃やすだけでも複数の手段がプレイヤーに与えられることになります。
広大なマップ。
物理や化学などの“手段”が増えても試せるフィールドがなければ無用の長物。
従来では考えられないような高低差のマップや、暑さ寒さの極端な地域が用意されたことで、「どう登ろう?」「どう凌ごう?」とユーザーが解決法を探す動機が生まれ、模索そのものがプレイヤーの冒険となりました。
システムの柔軟さ。
従来のゼルダはアクションパズルゲームであり、ダンジョン攻略における解法はかなり限定的でした。
それ自体は“答えの用意されたパズル”なので問題はありませんし、パズルそのものも面白いので私は好きでした。
BotWは見た目通り“ゴールの用意された部屋”であり、終点に辿り着くまでの方法を問いません。真っ当にスイッチを叩いたりボールを転がしたりしてもいいし、オクタ風船を使って全部飛び越してもいい。
プレイヤーのあらゆる試行錯誤を想定する、これは途方もない業です。
なお、ここまではあくまで従来のゼルダと比較したゲーム体験部分の特徴であり、豊かな生態系、オープンエアーと称される空気感の表現、アートワーク、シナリオ、登場人物たちの背景の掘り下げなど多岐にわたって長所があることは言うまでもありません。
【TotKの新しい自由度】
で、そのBotWの続編であるTotKで何が起こったか。
ゾナウギアの登場。
縦横無尽な機動、属性攻撃の発生、自動追尾、果てはどこでも料理鍋などプレイヤーの使える手札が豊富になりました。
これにより「火を焚いて上昇気流を作る」だけでなく「扇風機で上昇気流を作る」「むしろ扇風機エアクラフトに乗る」「ただ板を繋げてよじ登る」など更に選択肢が多様になった。
どういうこと?(困惑)
マップの拡張。
辿り着くまでが既に大冒険である空島、クラフトを有効活用しないとまともに歩けさえしない地底と、生身だけでは攻略できないマップが実装されました。
低コストなクラフトで走り回るもよし、自分の考えた最強のマシンで蹂躙するもよし、あえて生身でチマチマ進めるもよし……。
自分で考えた方法で攻略するのは楽しい。どんなに面倒な解法でも、実現する過程そのものがゲームになる。
この「自分で考えた」の部分をゾナウギアと右手パワーがより高解像度で実現させてくれる。
BotWのマップをより直接的に手で触れるようになった感覚ですね。
(直接関係ないけど、リンクの利き手が右手になったのはウルトラハンドの使い心地的にベターだったのかもしれない……)
(左利きの人ごめん)
【何をしてもいい、故に導線はちょっと丁寧】
上に飛んでも下に落ちても洞窟に潜ってもいい、何を集めてもいい。
前作以上に好き勝手にしてよい分、これがあると便利だよ! な必須級アイテムを取りこぼしかねない状況もできてしまいました。
今回はリンクが記憶を取り戻しており前作より人間関係が強固なので、まずはプルアに会いに行こうとか、ロベリーなら便利なものをくれるだろうとか、インパなら何か知っているかもとか、各要素への導入&探索時の重要アイテム取得への導入が分かりやすい……気がします。多分。
こういう印象を持つのは前作経験者だからかもしれない(龍の泪をよく分かっていなかったゼルダ初心者の友人を見ながら)。
自由すぎるので下手するとパラセールさえ使わずに四賢者を覚醒させかねない(している人がいたらしい)(末恐ろしい)。
【アイテム集めをしてもいい】
前作経験者である自分でさえゾナニウム? マヨイ!? バッテリー!!?? となったので、初見だとそれぞれの収集要素が何に役立つか理解するのにも時間がかかりそうですね。
どれから手をつけてもいいんだけどね。
便利な収集要素がとにかく山盛り。山盛りすぎて一口目をどこからいったらいいか分かりかねる有様です。
とはいえ収集要素は意識せずに目の前のことに手をつけつつ、ちょっとだけ寄り道をしていれば、例えばバッテリー1目盛分のエネルギーが貯まっているとか、マヨイの結晶を渡す機会が来るとか、いつかは導入に出会える訳で。
最初は収集要素の多さにクラッときたけど、全体像を把握してしまえばそんなに大したことは……
いや、大したことあるわ。集めるのにどんだけ時間がかかると思っているんだ。
とくにマヨイ。お前だよお前!(まだ集めきってません)
【ダンジョンを攻略してもいい】
フィールドに散在するひとくちギミックがより豊富になったおかげか、今回のダンジョンはオールドスタイルのゼルダ感が非常に強かったですね。
アタリマエを見直した結果、従来の持ち味がリファインされた上で復刻されたのは喜ばしい限りです。
ダンジョン構造は前作以上に複雑化、多様化しましたね。
前作の神獣は「端末1基につき祠ギミック1セット」のような、祠の延長感がありましたし。それはそれで勿論楽しかったけれども。
今回はギミックが独立せず、一つのダンジョン内で連続している印象を受けます。特にゴロンティアこと炎の神殿。
道中を切り開いて段階的に解いてゆく感じというか……これは説明し辛い……。
ダンジョンボス、自分はご当地賢者縛りでプレイしましたが、見方を変えて属性武器やギアをふんだんに使えば賢者なし単騎でも撃破できますし、逆にその時点での賢者たちを全員呼び出して袋叩きにしてもよい。
「好きに料理せえよ」と丸投げされた上で、自分の好きなように無法を働いたり縛ったりできる。この自由さがまた嬉しい。
【散歩をしてもいい】
収集物もダンジョンもチャレンジも全部放り投げて、好きなところを漫遊したっていい。
今作はとかくグラフィック表現の向上が素晴らしい。
……と思います。素人目だけど。
暫く前作をプレイしていないから実機では比較できていませんが、エフェクトや空気中の粒子がBotWよりも綺麗な気がします。
空島の草原が風に靡く風景、地底の停滞した空気感。どれもリアルで没入感がありますね。
スイッチのスペックでこれを表現しきるというのはとんでもない技術なのでは……?
ハイラル復興中だけあって前作以上に旅人に出会える気がするのですがコレは思い違いでしょうか。前作あんまりNPCと会話しなかったからなぁ(後半はイーガ団だらけだったし)。
特に気にも留めていなかったNPCから「おっ、あん時の兄ちゃん!」と声をかけられるのが地味に心温まる。
歩き回って話を聞いているだけでも十分楽しめますね。
ただただ漫然と馬を街道沿いに走らせているだけの時間も心地よい。
【ストーリーに想いを馳せてもいい】
ネタバレなしの感想なので詳細は伏せますが、前作ファンとしては大満足の展開でした。
あるいは前作要素抜きにしても秀逸なシナリオだったと思います。
演出もよかった。本当によかった。
「プレイヤーの操作」を演出に組み込んで貰えるのが大好きなゲーマーです。ありがとう。
メインシナリオについては、ギリギリネタバレしない範囲で言及するなら「そこまでするか」のラインに敢えて踏み込んだ感がありました。辛いよ!
前作ファンは登場人物に思い入れがあるので、ラストは久々に頬をカピカピにするレベルで泣いてました。滂沱。そこまでするか。
英傑が忘れ去られつつあるのはちょっと悲しかったですが、今作は「今を生きる世代が古代の宿命を引き受けて清算する物語」なので中間層が下手に入ると取っ散らかるだろうしなァ……。
でも英傑も好きだから……寂しくなっちゃってェ……BotWの思い出から動けなくってェ……。
(無言で発射されるロケット)
【プルアさん】
(ここだけ記事の下書きメモを推敲せずにそのまま掲載します)
(悶えるオタクのライヴ感をご堪能ください)
・どうしてそんなことになったんですか?
・ド好みです……
・チェッキー(ダウナー)じゃねんだよ 好きになるだろが
・なったわ
・人里に紛れ込んでプルア女史の寝顔を見守るコログになりてぇ……
・ヤハハァ!
・ウッ
・でも主人公はリンクさんなので、ハイラルとゼルダ姫のために東奔西走する主人公リンクさん with その背後霊であるプルアさんだいすきクラブ蛮族部門リーダーな状態になる
・何この……何?
・BBAって呼んでも「アンタねぇ…… せめておばあちゃんって呼びなさいよ」ってたしなめてきそう(幻覚)
・幻覚を見始めたら末期なので本項目はこの辺で切り上げます
はい。
【総括】
クリア時間はちょうど100時間、その後さらにプレイし続けて「キリのいいところまで行ったな」と気持ちに一区切りついたのが165時間。
まだ洞窟や設計図はコンプリートできていないので、やろうと思えばまだやり込める。そんな確信がある。
ですが、とりあえずここで一旦ペースを緩めたいと思います。
睡眠不足がね……深刻でね……。
凄かった。
BotWを土台に作った「ようしゃないカツカレーうどん」ですコレは。
前作の良さを踏まえて、更に新要素を倍率ドンさらに倍してくるとは思わなんだ……。
BotWの序盤、始まりの台地でマップを見て「この台地こんなに狭いの!?」となったあの驚きを、TotKで地底に降りたあとに「これ地上と同じだけあるの!?」で再び味わわせてくるとはな……。
遊んでも遊んでも終わりが見えなかったし、今も見えてないし、楽しみ方がいくらでも見つかる。
ので、一度起動すると止め時を見失います。危険すぎる。
怪作。恐ろしいものを生み出してしまいましたね任天堂は。
生きている間に片手で数えるくらいしか経験できない衝撃だったように思います。
これはDLCが楽しみです。絶対に来るだろうという信頼を抱いています。できれば今度はガノンドロフを掘り下げてほしいな。
あと姉上ゴーレムの拡張性も向上してほしい。
というか賢者の挙動もうちょっとどうにかしてほしい。
誤爆するしチョロチョロ動き回るから仕舞っちゃったよ。皆で旅したいぜ。
【余談】
以前、「期待を込めて予約買い・当日買いしたタイトルが外れることが多くて辟易」「ティアキンが最後の希望」などとウジウジと綴りましたが(#137)、ティアキンが怪作だったことで心が救われました。
引き続き大切な趣味として付き合っていけそうです。
ありがとう……。
この一か月はそんな感じでした。いやあ、胸いっぱいです。このゲームを遊べてよかった。
以上、感想記事おわり。
それでは、また次の日曜に。